法律のいろは

遺言などで相続部分がゼロとなった方を遺産分割に含める必要があるのでしょうか?

2022年1月19日 更新 

 遺産分割協議を行う際には,相続人全員を協議に含めて合意を取る必要があります。一部でもかけていると原則として遺産分割協議の結果が無効となります。そのため,遺言で相続分をゼロにするという方がいる場合であっても,すべての相続人を交えて遺産分割協議をしておくことが安全ではあります。この場合に遺産分割協議をする必要があるのかは,遺言の内容やその他の事情によって異なります。

 

 とはいえ,絶対にすべての場合で必要なのかというのがここでの話になります。相続分を譲渡した相続人については遺産分割協議に参加する資格を失っていますし,同じく相続人から廃除された(法律上の廃除手続きが認められた方)も,遺産分割協議に含めなかったからと言って無効になる物ではありません。これに対して,遺言で「相続分をゼロとする」などと記載されている場合はどうでしょうか?

 この場合に遺留分について遺留分侵害額請求の問題は出て来ますが,その方を外した特定の方に相続させるという趣旨の遺言がなされているといえます。そのため,相続をするということがない方を外して遺言をしたからと言ってその遺産分割協議を無効とする理由には乏しいものがあります。もちろん,先ほど述べたように後のトラブルを防ぐという意味であれば,この場合も相続分をゼロとされる方を含めて遺産分割協議をしておいた方が安全でしょう。ここでのトラブルとは遺言の効力の問題や遺産分割協議の効力を巡る問題などが考えられます。

 

 これに対して,生前贈与を十分受けているために遺産分割協議の際に,具体的な相続分(特別受益その他を調整して計算した相続分)がゼロの場合がありえます。この場合,特別受益などを調整して計算した内容では相続する部分はない方が出て来ますが,別に合意をすること自体は可能です。子の相続分がゼロとなる方を除いて遺産分割協議をしても無効にならないのかどうかという話が問題にはなります。この場合はあくまでも計算上で取り分となる相続分がゼロとなるだけで,そもそも遺産に対する権利がないとも評価できる遺言での指定の場合とは異なるように考えられます。

 実際相続での取り分が問題になる場合に,具体的に調整の計算をしたうえで取り分がゼロになることが明らかな方が遺産分割協議を積極的に求めることは少ないとは思われますが,争いがある場合や生前贈与は特にないという言い分がある場合にはそうはならないでしょう。この場合には遺産分割協議などでの言い分や証拠などから結果としてゼロの取り分となる方も出て来ますが,あくまでも話を進めたうえでのことなので,遺産分割協議にはこの方も含めて具体的な取り分の話をまとめておく必要があります。これは先ほど述べた遺産に対する権利がないと評価できないのではないかという話もありますが,具体的な取り分がないことや遺産の最終的な配分を確定しておく意味合いもあります。

 

 このように,理屈的に見て遺産分割協議に相続人全員をすべての場合に混ぜる必要があるのかという問題もありえますが,可能な限り全員で協議を取りまとめておく必要があります。行方不明の方がいる場合であっても,費用や手間がかかりますが,不在者財産管理人という財産管理をする方の選任を家庭裁判所に求めその方を含めて話を付けておいた方がいいでしょう。先ほどと同様に後で遺産分割協議の有効性が問題になるのを防ぐ意味合いからです。

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