法律のいろは

遺言書作成の際に立ち会う「証人」の意味とは?

2022年1月10日 更新 

 公正証書での遺言など一部の遺言には作成にあたり「証人」二人が立ち会うことが義務付けられています(その他一部立会人が義務付けられている種類の遺言があります)。遺言者買が自筆で書く自筆証書遺言では義務付けられていませんが,立ち合いを求めることができます。この「証人」は法律上,未成年者等一部欠格事由(遺言書作成にあたっての立ち合いをすることが不適当と考えられる方)を除き,誰でもなることができます。実際,この「証人」の方の意味となることでの将来への影響などについて簡単に触れていきます。

 

 まず,「証人」は次の役割が求められています。①遺言をした方に人違いがない(別人が遺言者の名前を勝手に使っていない)ことの確認をする②遺言をした方の意思に基づいて遺言書を作成したことの確認をする③遺言書の内容自体が遺言書を作成した方の意思に基づいていることの確認をする,というものです。例えば,公正証書遺言では公証人の方が確認しているようにも思われますが,こうしたことの確認を行うことが求められています。遺言書作成にあたってはその支援をしてくれた方などを「証人」にすることもできます。公証人側に「証人」となっていただく方を手配してもらう場合には費用がかかります。

 

 遺言者の判断能力や内容・経緯から見て,遺言をするだけの能力が遺言作成時にあったのかどうか・口授と呼ばれる遺言書の内容を遺言者から聞き取る(実際には内容確認を遺言者にすることが多いように思われます)といった点がなされていたかが問題になる場合に,「証人」が把握している状況がポイントになることもありえます。これは,先ほどの争いになる点がいずれも遺言が無効かどうかが問題になった場合に事実関係がどうであったのかという点でポイントとなりかねない事項であるためです。

 遺言が判断能力などの理由で無効かが問題になる場合には,裁判例上,遺言をした方の健康状況や意思をどれだけ示すことができるのか・変更をする場合には変更をするだけの動機や財産をもらう方との関係性等様々な事情が考慮されます。そのうち,まさしく遺言書を作成する時点で自らの意思を示していたのか(内容や作成について)は重要な要素の一つになるため,作成の場面に立ち会った「証人」が見た状況(遺言をした方の様子や健康状況,意思を示していたのかどうかなど)は事実関係でのポイントの一つになりうるものです。とはいえ,遺言者がなくなり実際の相続の開始遺言の効力が問題になるまでに相当時間が経過していることもあるので,鮮明に覚えているのかというと必ずしもそうは言えませんし,覚えていることを当然に義務付けられるわけでもありません。ただ,裁判になる場面では証言を求められるという意味での証人としての出廷が求められることもありえます。法律上は原則証言拒絶権がなく偽証罪の制裁があります。

 

 こうした点もあり,先ほど述べた未成年者以外にも「証人」となることについて欠格(不適当)と考えられる方が定められています。遺言作成時の相続人にあたる方(推定相続人)・遺贈を受ける方やその配偶者・直系血族(子や親),公証人の関係者が該当しています。前者は利害関係が明らかですし,後者は公正証書遺言でも公証人以外に「証人」が要求されている意味がなくなります。

 

 「証人」等もただ立ち会うだけというわけではなく,相応に意味があります。

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