法律のいろは

相続等により取得した土地を国に取得してもらう制度とは?

2022年2月12日 更新 

  令和3年に法律改正によって相続などによって取得した土地所有権を国庫へ帰属に関する法律というものが新設されました。これは簡単に言えば,これまで個人や法人が取得した土地などの権利を放棄して国に引き取ってもらう制度というものがなかったところ,限られた場面でモラルハザード防止等のための一定のハードルをクリアした場合に土地の所有権を国に取得してもらえるという制度が新たに設けられたというものになります。

 所有者不明土地などへの対策のための一連の法改正として設けられたもので,主に所有が負担となる土地の所有権を念頭に,申請を行政機関に行い,行政機関が法律で設けられた要件(ハードル)をクリするのかどうか審査を行い,クリする場合には土地の所有権を国に帰属させる(移す)ことを承認する制度となっています。

 

 ここでのハードルは土地の所有権を国が引き継ぐことへの国(税金での負担)や申請を行う所有者が面倒をおしつけることへのハードルを上げるためのものです。いわゆるモラルハザード防止のために,取得に至る場合を限定しています。そのハードルですが,申請できる方を限定する・一定の事柄がある場合には申請を却下する・一個でも該当があれば承認をしない事由の存在。証人を受けた場合の管理コストの負担金を出すことが該当します。承認を受けても負担金を納めないと権利は移転しません。承認をうけられない場合・却下された場合には行政処分に該当することから通常の行政不服申し立てを行うことになります。

 

  申請を行う方については,相続人(相続・遺贈で取得した方)が相続や遺贈で取得した土地があれば該当します。ここでいう遺贈は相続人以外の方へのものは含まれません。また,生前贈与を相続人に行っている場合も対象外ですので注意が必要です。共有となっている土地についてはその一人に相続や遺贈により持ち分を取得したということがあれば共有者全員の申請により行うことが可能です。

 次に却下になる事由についてですが,管理にあたって他の人との調整が必要になる土地であれば却下される形になります。例えば,土地に地上権等の利用権が設定されている・担保が設定されている場合が該当します。一個でも該当すれば不承認になる事由は一部政令で指定(管理に費用や負担が大きくかかる)以外も同様に土地が汚染されていることや埋設物があること・境界に争いが起きうる,その他管理にあたり隣地の所有者と裁判などがおこるものと言えること等が挙げられています。それまでの土地利用や外見から汚染や埋設がある場合や樹木を伐採しないと一般的な土地の利用ができない場合には,ここでいう事由に該当することになります。細かな点は令和3年の終わり時点で今後政令で明らかにされるとされています。

 承認を受けた場合の負担金は10年分の管理費用を考慮して行政側で算定をすることになります。承認をするかどうかは行政機関が行い必要な調査を行うとともに資料の提出を求められることになります。承認を一度受けても偽り・不正の手段を使ったことで承認を受けたとなると後で承認が取り消しを受けかねないので注意が必要です。

 

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