法律のいろは

相続の登記が義務化へ?相続発生後の登記はどのように変更されるのでしょうか?

2022年2月20日 更新 

 所有者不明土地に対する対応での法改正により,  民法の改正以外に不動産登記法の改正も行われました。

    登記制度についての大きな変更としては相続の登記の義務化と呼ばれるものがあります。これまで,特に田舎で活用の方法がない不動産などには遺産分割を行わないまま⇒相続登記をすることなくいつまでも以前の方の名義になっているものが存在しました。後に遺産分割を行う場合に相続人が多数存在し調整に難航するという話や関連して相続人の調査に難航をきたす場合もあるという問題がありました。

    そこへの対応として,相続に関する登記を相続開始+その不動産を引き継ぐことを知ってから3年以内に行わないと過料による金銭制裁を受ける制度が導入されることになりました。以前は特に制裁がなかったという点の対比で義務化といえるものです。ただし,金銭制裁が科されない場合として「正当な理由」がなく登記がなされない場合になります。

 

 ここで義務付けられる相続に関する登記とは,相続をしたという相続登記でなくてもよく,「相続人申告登記」というものがされていれば足りるとされています。ここでいう「相続人申告登記」とは,相続登記よりも簡略化された添付書面をもって申し出をすることで,既存の登記に付記される形での登記がなされるとのことです。相続が開始され法定相続人であることを申し出る意味合いのものです。この申し出は各相続人が行うことができるのは相続登記と同じですが,効力がほかの相続人に及ぶわけではないため,各相続人ごとに申出をして義務を果たした形にしておく必要があります。

 この登記をしても相続登記自体はされているわけではないので,相続人全員が同意をしたからと言っても,相続登記をしないままで他の方に遺産に属する土地や建物を売却できるわけではありません。登記は途中の過程の登記を省略できず,相続自体が途中の過程にあたるためです。

 また,遺言がない場合には遺産分割協議を伴い最終的にはその協議結果に伴い登記を行うことになります。ここでも期間制限を伴う義務(違反には金銭制裁あり)があり,遺産分割協議が成立した日から3年以内となっています。

 相続に関する期限は相続税がかかる場合にも相続税の申告期限やとりあえず遺産分割協議が整わなかったときに整った場合の申告期限(他の手続きなど注意すべき点があります)もあります。ちなみに,当初の相続登記(法定相続分によるもの)や相続人申告登記をすべきとされる期間内に遺産分割協議を行うことができたのであれば,最初から遺産分割に伴う相続登記を行うことで問題をクリアすることも可能です。

 

 これに対して遺言(ここでは「相続させるとの記載のある遺言」,特定承継遺言というもの)がある場合には,自ら(遺言執行者がいる場合には遺言執行者から)相続登記をすることになります。これで期間制限を問題とすることなく全ての手続きが終わりますが,期間制限自体は法定相続分での相続登記が行われたときでもクリアしたことにはなります。ただ,この場合には遺言の有効性の問題がある場合を含め,登記の是正をもとめることになるでしょう。

 

 細かく言えば問題となる場面は他にもあり期間制限を意識した対応が必要になる点もあり,注意が必要です。法改正の内容が施行されてから3年経過されてからの話になります。登記に関する制度改正はこのほかに登記の簡略化がされた点やこれまで市町村で固定資産税評価証明関連の名寄帳を取り寄せる必要があった点が,所有不動産目録証明制度が設けられた点等利便に関わるものも存在します。この制度については別途触れる予定です。

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