法律のいろは

特別寄与料の請求における期間制限と「特別の寄与」とは?最近の裁判例では?

2022年4月10日 更新 

 平成30年の民法の改正で,それまで相続人についてのみ相続での「特別の寄与」について「寄与分」という形の分割の修正要素しかなかったものに,相続人ではない亡くなった方の親族に関して金銭の請求を求められるようにした制度になります。「特別な寄与」と得るほどの貢献があった場合に,その貢献に応じたお金の支払いを相続人に対して請求できる制度(遺産分割手続きに参加できるわけではない)になります。ここでは,ハードルとして「特別な寄与」が存在すること・請求自体が一定の期間内であることが要求されています。比較的最近の審判例(静岡家裁令和3年7月26日審判,家庭の法と裁判37号81頁)でこうした意義について判断されたものがありますので,その判断に触れつつこの意義について触れていきます。

 

①「特別の寄与」

 特別寄与料の請求は,中区なった方と同居していた相続人の親族(亡くなった方の親族)で身の回りの世話などに特に大きな貢献をしたけれども,相続人ではなくその貢献が遺産分割では反映されない(遺言書で遺贈などがあれば別)不公平是正(相続人については「寄与分」という制度があり)の為に設けられた制度と言えます。したがって,ここでの「特別の貢献」の意味も「寄与分」お制度についてこれまで言われてきたところと基本的には同様の考慮がされる部分が出てきます。ちなみに,身の回りの世話以外のタイプも考えられます。

 ここでは,身の回りの世話についての「寄与分」でいわれてきたところからすると,亡くなった方の心身の状況から見て,施3羽をしてもらう必要性が存在し・入院や介護施設への入所状況・実際の世話の状況から見て継続的に集中して行っていたものかどうか等を踏まえて考えていくことになります。当然裏付けが必要ですので,医療記録や介護記録等から見ての話になります。公平の観点から認められるものですから,何かしらの経済的利益を得ている場合にはそうした調整が不必要という方向に向きやすくなります。

 

 先ほど触れた審判例では,亡くなった方の弟が亡くなった方の子供に対して,特別扶養料の請求を行ったものです。弟も状況によっては相続人となりえますが,亡くなった方に子供がいる場合には相続人にはなりません。このケースでは病気になった亡くなった方の療養看護の状況から見て「専従的に」身の回りの世話をしたことで,貢献に報いて特別扶養料の請求を認めるべきものとは言えないと判断しています。亡くなった方の体調を崩した後の世話を見ていたからの状況や誰か・請求をした方がいつからどの程度かかわっているのかの事実を認定し判断をしています。「専従的に」行ったといえるかどうかも大きな要素と言えます。

 法律上は,寄与の時期や方法程度・相続財産の額等の事情を考慮するとされていますが,今触れた判断はここに関わるあるものと言えます。

 

②期間制限

 法律上は,請求をする方が,相続の開始と相続人を知った時から6か月以内・相続開始の時から1年以内に請求をする必要があるとされています。短期間であるため,期間経過により請求ができなくなりかねないという問題があります。短期間であるのは,紛争の長期化を避けるとともに,「特別の寄与」をしているほどの方であれば短期間でも請求は可能という趣旨からのものです。ここでの6か月がリセット可能な時効期間なのか・できない除斥期間なのかは見解の対立があるようですが(リセットできないと先ほどの審判では判断しています),「相続人を知る」の意味がどこなのかは短い分問題になる可能性があります。相続開始時は,亡くなった時点ですので,ここを認識する(葬儀の出席や死後の手続きに関与すれば普通は知っているはず)

 通常は親族として付き合いがあれば「相続人を知る」ことが問題になることは少ないように思われますが,相当に疎遠な場合には誰が相続人か知らないということもありえます。先ほどの審判では権利行使の可能性があるかどうかという点からか「その相続人に特別寄与料の請求が可能な程度に相続人を知ったとき」としています。亡くなった方の遺品などを手渡すなどしていれば,その時点からは知っていることになります。実際に同課はケースごとのやり取りの状況によって変わってきます。

 

 審判例のケースでは,相続人ごとに以前からの付き合いの状況や亡くなった後のやり取り内容から,知ったといえる時期を判断し,そこから期間制限となるかどうかを判断しています。

 

 

 「特別の寄与」のハードルも相当高いものが想定されますが,期間制限についても短いところから経過しないように注意が必要です。

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