法律のいろは

相続財産など財産関係の調査の方法とは(預金・不動産・負債)?

2022年6月9日 更新 

 遺産分割などで相続財産等問題となる財産関係が分からないので,調査が必要な場合があります。遺言で網羅的に記載していれば問題はないのですが,そうではない場合には調査をして漏れや相手方からの開示で全てなのかの確認をする必要がある場合もありえます。

 

 預金については,個人情報ということもあり弁護士に依頼した場合に行う弁護士会を通じた紹介でも,その方の同意がなければ買開示は難しいでしょう。裁判などになった場合には,裁判所を通じた照会もありえますが,こちらも本人の同意を要求するケースがありえます。遺産分割の場合には,相続人の一人であれば判例上取引履歴の開示を求めることができますが,金融機関などを特定できないと照会はできません。

 次に不動産は所在が分ければ,登記簿や登記情報を法務局やインターネット上(登記情報提供サービス)から取得することは可能です。登記情報からは現在の権利者として誰が公示されているのか・抵当権などが設定されているのかどうか・抵当権が設定されている場合には,共同担保目録の内容から他の遺産なのではないかがうかがわれる不動産が記載されていることもありえます。抵当権(根抵当権も含む)は負債の可能性を示すものですが,完済後に抵当権の抹消を忘れていることもありえますので,ここは別途確認が必要になるでしょう。こちらは抵当権者(通常は貸主)も記載されているので,問い合わせもありえます。時効の可能性がどうかの検討も必要になるかもしれません。負債はこのほか,相続人であれば信用情報機関に照会をすることもありえますが,複数対象貸金業者が異なるところがありますので,手続き内容も含めて確認が必要です(インターネットからの取り寄せの可能性もあります)。

 

 不動産については,別に固定資産税の過程対象になりますから,権利者(相続の場合には亡くなった方)の名寄帳というものをその不動産の所在する市町村に取り寄せることも可能です。権利者かその相続人であれば取り寄せが可能です。相続の場合にはまずは居住している市町村が対象にはなるでしょう。名寄帳にはその市町村での固定資産税の課税対象となる不動産と固定資産税評価額(その年)等の記載があります。ここを手掛かりに不動産の情報を集めることが可能です。これらの資料を相続人が集める場合(誰でも取り寄せ可能な登記簿謄本などは別)には相続人であることなどを戸籍資料などから示す必要があります。

 

 不動産の資料収集方法には,不動産登記法などの令和3年の法改正により新たな制度が設けられました。所有不動産記録証明書と呼ばれるものです。これは,これまで登記簿が不動産ごとの権利を公にする制度で人ごとの管理ではなかったことから,人ごとにどのような不動産を持っているのかを示す証明資料として設けられることになったものです。特定の方が登記している不動産の一覧資料ということができます。名寄帳もその方がその市町村で持っている不動産(固定資産税の課税対象)の一覧ですが,これが公示されているもの全体で一覧(市町村を跨いでの一覧)したものと言えます。法務局での取得が可能なものですが,登記簿謄本とは異なり誰でも取得できるものではありません。その名義人の方かあるいはその相続人の方に限定されます。

 対象が限定されるのは重要な個人に関する情報であるからです。当然この資料があれば不動産に関する情報を収集しやすくなるので,相続登記の漏れがなくなる可能性につながる(遺産分割でも漏れ防ぎになりやすい)一方で,債権者の側からするといざという時の差し押さえをしやすくする面があります。そのため,この資料を取得する場合には情報管理をきちんと行う必要があります。

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