法律のいろは

亡くなった後の事後処理を委任する死後事務委任契約とは?

2022年9月15日 更新 

 子どもや兄弟姉妹など法律上相続人となる親族がいない場合,亡くなった後の納骨や埋葬・その他家・財産や契約関係を津人や友人が勝手に行うことはできません。生前成年後見人が任意後見人となる方がいた場合であっても,何もなければ死亡という事実により業務が終了することになります。納骨や埋葬その他病院や介護施設の事後処理などは財産関係の処分にあたるところもありますので,何の権限もなく対応することはできません。任意後見契約等生前の財産管理などを行う場合であっても,法律上依頼した側の死亡によって規約は終了することになるのが原則ですので,死後の事務処理を委任する必要が出てきます。

 死後の財産上の事務処理を他の方に任せるのが死後事務委任契約になります。ちなみに,相続人となる親族がいるケースでも死後事務委任をどなたかに依頼することは可能です。

 

 任意後見契約を締結する際には通常士業など専門家が関与することが多いので,契約項目中には死後事務委任へ移行する(財産管理などが依頼側の死亡によっても終了しない)項目を入れておく形で対応することになるでしょう。ただし,死後事務委任という契約での依頼事項と任意後見契約での依頼事項では項目が異なるので,依頼事項をきちんと契約の中で設定しておく必要があります。

 そもそも,死後事務委任では死後の亡くなった方の財産上の事務で処理しておくべき事項を依頼内容で定めておく必要があります。その中では終了時に残ったものを誰かに引き継ぐのか・報酬をいくらにするのか(無償もありえます)・費用をどこから出すのか(遺産から出すと決めることが多いように思われます)を決めることが多いものと思われますし,トラブル防止のためには定めておいた方がいいでしょう。依頼事項の中には急ぎと思われる,埋葬や葬儀に関する事項・公共料金の支払いや病院・介護施設の費用の支払い・自宅の賃貸借契約の解約などがありえます。相続人がおらず遺言執行者もいないケースでは相続財産管理人の選任を申し立てる権限などを入れておくこともあるでしょう。遺言がある場合の遺言内容の実現のための遺言執行者とは異なります。

 緊急やむを得ない事項については依頼事項に含めていない場合であっても,依頼を受けた側で対応は可能です。各種費用の急ぎの死はリアは該当する可能性はありますが,緊急やむを得ないとは当然には言えないので,予め依頼項目に入れておいた方が安心でしょう。

 

 死後事務委任の中に,亡くなった後の官公庁への各種届出を含めることができますが,亡くなったという届け出自体は法律上死後事務の依頼を受けたというだけでは受理されない(親族や任意後見人など限られています)ところがあります。生前の財産管理を依頼しておいた方がいいのかという点やこうした落とし穴になりかねない点を踏まえて依頼事項を決めておく必要があります。

 

 特に独り身で周りに迷惑をかけたくないケースでは,生前の財産管理・死後のことなどを切れ目なく管理や対応を依頼しておくことが安全です。その際には依頼事項・かかる費用ともに以前に決めておくことで周りに迷惑をかけずにすみます。費用を定めておかないと,相当額の請求ということでトラブルになりかねませんし,遺言執行者の場合も家庭裁判所への申し立てなどの煩雑な点が生じるためです。

 

 

 

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