法律のいろは

相続放棄の申述手続きや受理すべき場合はどのように考えられるのでしょうか?

2022年12月25日 更新 

 相続放棄は家庭裁判所への申述(申出)と受理によって相続人に最初からなかったものとして扱われる手続きです。期間制限や法律上当然にすべて引き継いだものとして扱われる場合を除き相続放棄はできるのが本来のところです。後になって負債が分かったなどの期間制限を超えているのかどうかが問題になる場合や亡くなった方の契約関係や遺品処分の関係で当然引継ぎ(法定単純承認事由)を満たすのかどうかが問題になることがあります。

 葬儀その他を行った場合にどうすればいいのか難しい問題はありますが,一定の期間制限内に申出をしないと確実にできなくなるという問題もあり,チャレンジするのかどうかは悩ましい場合も出てくる場合があります。実際に家庭裁判所に相続放棄の申述を行うには戸籍関係等必要書類を集めて申出をする必要があります。ここでの戸籍関係書類はケースによっては時間がかかる(取り寄せが多数になる)こともありえます。

 

 申述(申出)後は家庭裁判所において,申述が申し出をした方の真意によるものなのかどうか・当然にすべて引き継いだものとして法律上扱われる場合に当てはまるのかを調査したうえで受理をするかどうかの判断を行うことになります。したがって,申述を行ったからといってすべて受理するわけではありません。どこまでの調査を行い,受理がなされるのが気になるところです。

 こうした審理や判断について1審で却下した判断を覆したものとして,東京高裁平成22年8月10日決定・家庭裁判所月報63巻4号129頁があります。このケースでは,相続放棄のできる期間のスタートとなる時点がいつか・期間経過がなされたのが争点でしたが,2審では相続放棄の申述を受理するかどうかという点でどこまでの審理を行うのかという点での判断も示されています。相続放棄の要件を入念に審理することが構造上予定されていないこと・仮に相続放棄の申述が受理されても,相続放棄の要件を満たしていることが確定するわけではないこと・申述が却下されてしまうと相続放棄がされたことの主張を相続人が行うことができない事を踏まえて,審理に関する判断がされています。結論は,相続放棄の要件を満たさないこと(当然にすべてを引き継ぐことが法律上定められている場合に該当する)・期間経過していることが明らかである場合に却下する駅であると判断しています。

 そのうえで,このケースではスタート時点がいつになるのかどうかについて,別に裁判で厳密に審理がなされるべき事項であることや一見して明らかにならないことから,期間経過は明らかではないと判断しています。ここから,却下すべきこと・期間経過などが明らかではないとして相続放棄の申述(申出)を受理すべきであると判断しています。

 

 あくまでも,ここでの判断にある相続放棄の申述(申出)と受理をされたとしても,その要件を満たすのかどうかまでは確定していない(別件での争う予定を残したもの)ために明確に却下すべき事情がない場合には受理すべきとしている点に注意が必要です。要は,実際に相続放棄の要件を満たしていて有効なのか・無効なのか自体は通常の再販で別途争いになる可能性があるということです(もちろん,疑義が相当高い場合以外は考えにくいのではないかと思われます)。

 相続放棄の申述が受理されないと相続放棄の効果を主張できないために入り口を狭めないという話なので,絶対に負債の支払い義務から逃れているわけではない点にも注意が必要です。ただ,相続放棄がされていないと先に話に行かないので可能な限りのチャレンジは考えた方がいいかもしれません。

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