法律のいろは

離婚と財産分与(その⑩)

2013年5月18日 更新 

離婚にかかわる財産分与で清算される財産が,婚姻中に夫婦で形成した共有財産という話はだいぶ前にしました。夫婦で形成した財産とは何かというよりも,財産分与で清算されない財産とは何かを考えた方が分かりがいいように思えます。

 財産分与で清算されないのは,結婚前に夫婦各自が持っていた財産と結婚後に夫婦各自が名実ともに単独で取得した財産となります。名実ともに単独で取得したと言える必要がありますから,名義が夫婦どちらであるかどうかは重要ではありません。自宅を夫婦共有にされている方はいるでしょうけど,生命保険や預金等は夫婦どちらかの単独の名義であるのが普通であると思われます。

 ですから,夫婦どちらかのものであっても,結婚してから夫婦で形成した財産は財産分与の対象となります。よく学資保険は,子どもの教育費のための財産だからという話が出てきます。しかし,あくまでも保険の契約者は夫婦のどちらかであることが多いです。離婚により,中途解約した場合に,解約返戻金が戻ってくるのは契約者である夫婦どちらかです。ですから,夫婦の共有財産となります。この場合の財産分与すべき財産は,学資保険の解約返戻金となります。

 この場合でも,必ずしも学資保険を解約し無ければいけないとは限りません。他の財産等から財産分与すべきお金をだすことやその後の保険料の負担や契約者名義の変更などの調整を行うことで,学資保険を維持できることもあります。子どもの親権者となった親が契約者となって,調整後の保険料を負担する例が多いように感じますが,話合いが出来れば柔軟な問題の解決はできる可能性があります。

 ちなみに,いかに学資保険でも契約者が夫婦どちらでもない(たとえば,子どもの祖父母)である場合には,財産分与の対象からは外れます。

 

 これに対して,子ども名義で預金している場合には,状況は複雑になります。

 本当に子どもが親や祖父母などから贈与を受けたお金であれば,夫婦ではなく子どもの固有のお金となります。この場合には,名実ともに子どものお金を親である夫婦で管理しているだけということになります。ただし,父母がそれぞれのお金(つまり,結婚中に稼いだお金等)から子ども名義を使って貯金をしているケースもあります。この場合は,当然夫婦で形成した共有財産ですから,財産分与の対象となります。

 では,真実子どもに贈与したかどうかは,なんで判断するのかが問題となります。子供が将来お金を使えるようにするために贈与したかどうかなので,それに見合ったお金の使途がなされているかがポイントのように思われます。

 もちろん,財産分与の対象を考えるに当たり,子どものためのお金だからということで財産分与の対象から外すという合意をすることもできます。こうした合意ができない場合に,真実子どものお金と言えるかどうかを詳しく考えていく必要が出てきます。

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