法律のいろは

相続の際に,このお金やモノをあつかいはどうなるのでしょうか?(その①遺骨やお墓・遺産の管理にかかったお金の扱い)

2013年5月20日 更新 

相続や遺産分割の際に,このお金はどうなるのかもんだいになるものは結構あります。

 たとえば,亡くなった方(被相続人)の面倒を見ていた方がお金を管理していたのだけれども,使途が良くわからないお金があるといった場合です。ただ,話によく伺うと思われるのは,亡くなった方(被相続人)の葬儀費用や葬儀の際にもらった香典の話のように思われます。他にも,亡くなった方が持っていた不動産の賃料とか,預金とか株式の利息や配当の話もあるような気はします。生命保険金や遺産を管理するためにかかった費用の話などいろいろと出てくるところです。保証人だった場合にはどうなるのかという話もあります。

 

 まず,相続財産は,親御さんなど亡くなった方(被相続人)が無くなられた際に,その方が持っていた財産を指します。遺産分割の話し合いをする際にも,基本は相続財産の分割ということになります。

 そういう話ですので,被相続人の方が亡くなった後にかかった費用は,相続財産ではありません。特に,葬儀費用は,被相続人の葬儀のために係ったお金ではありますけど,その方の財産について生じた費用ではありません。ですから,相続財産からお金を出すべき費用には本来あたらないのです。

 では,誰が負担するべき費用なのでしょうか?葬儀というと普通喪主がいるかと思われます。法律上,祭祀承継者と呼ばれる方が,祭祀に係ったお金(ここでは葬儀費用)を負担するべきことになります。喪主が,祭祀承継者にあたる例が多いと思われます。そのため,喪主の方が葬儀費用を負担する例が多くなってきます。ただし,葬儀費用や香典などをだれが取得するのかは見解が分かれているところでもありますので(喪主負担の見解は代表的なものです),実際には遺産分割協議などの中で立て替え金の問題とともに解決をしておいた方がいいでしょう。

 葬儀というと,出席する方は香典を負担するのが通常ではないでしょうか?一瞬相続財産なのかなという気もするところですけど,亡くなった際に持っている財産ではありませんので,相続財産にはなりません。そもそも,香典とは,遺族の慰めや遺族の経済的負担を軽減するためのお金です。基本的には,祭祀承継者である喪主あるいは遺族への贈与となります。

 ちなみに,墓石や仏壇など祭祀承継財産は,祭祀承継者のものなります。遺骨に関しては祭祀承継者が所有する・喪主が所有するという見解がありますが,裁判例上は慣習上の祭祀承継者が取得すると判断をしたものがあります。いずれにしても埋葬された遺骨はお墓の一部として扱われます。お墓については祭祀承継者が権利を有するとされています。この祭祀承継者は,遺言で定めることもできます。遺言がない場合には,慣習によるのが基本です。このほか,話し合い(裁判例により認められています)・家庭裁判所の判断で決めることになります。

 

 遺産管理にかかったお金は,葬儀費用とは異なり,相続財産に関してかかったお金ということもできます。具体例としては,遺産に含まれる財産の固定資産税や公共料金や火災保険の保険料・家賃などが考えられます。相続税や葬儀費用は異なるとされています。このほかには,遺言で遺言執行者が定められていた場合の遺言執行者への報酬も遺産管理費用に含まれます。これらは,遺産分割での協議対象ではなく遺産から支払いがなされるべき性質のものです。ただし,遺産分割の場でっても,一般には遺産分割にかかわる方(主には相続人)が分割・清算に同意すれば,分割・清算をできるという考え方がなされています。つまり,遺産管理にかかった費用は,争いが出て話し合いで解決できない場合には,遺産分割にかかわる手続きとは別に裁判で解決しないといけないという可能性があります。

 

 このように,相続に関して,お金の話は複雑です

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