法律のいろは

離婚と財産分与(その⑪)

2013年5月20日 更新 

 離婚にかかわる財産分与の話で,株式の話が問題になることは以前触れました。

 基本的には,夫婦が結婚後に取得した株式は,離婚に際して財産分与の対象になります。勤務している会社の株式を従業員持ち株制度を使って買ってきた場合や貯金で株式を買った場合などが典型例ですね。

 これに対して,親から相続した財産で買った株式やそもそも株式を親から相続した場合には,財産分与の対象にはなりません。この場合には,株式は夫婦それぞれの固有財産(特有財産)にあたるので,財産分与の対象から外れるためです。ですから,親の代から会社を営んでいて継いだ場合に,その会社の株式は財産分与の対象にはなりません。

 

 ちなみに,親の代からの会社の場合には,有限会社という名前の場合も多いと思われます。現在,有限会社は基本的に廃止されていますけど,有限会社についても同じように考えることが出来ます。

 

 これに対して,結婚後に夫婦どちらかが会社を興した場合には,株式は夫婦共有財産に含まれて,離婚の際の財産分与の対象には含まれます。ただし,会社を興して発展させたのは自分の特別な才能があるからということであれば,分割割合が多いという話をすることはできます。この場合は,基本的に寄与は50%と考えられるという点を修正させる自分の才能の話を強く言う必要が出てきます。

 会社の株式が財産分与の対象になるかどうかはさておき,夫婦いずれかが経営している会社の財産は,離婚の際の財産分与の対象に含まれるでしょうか?答えは,なりません。なぜなら,会社はいかに法人なりしただけ,つまり,夫婦どちらかの個人商店であっても,個人とは違う存在です。ですから,会社の財産はあくまで会社の財産であることが基本です。経営者である夫婦どちらかの個人財産とは基本的にならないのです。

 

 もっとも,会社に財産があるのでは?という話が出る際には,会社の株式の価値が高い可能性もあります。この場合には,株式が離婚の際の財産分与の対象になるのか・財産分与の対象になるなら,どれくらいの価値があるのかが問題になります。価値の評価の際には,株式が取引されていない中小企業では,資産などの内容が問題になることもあります。

 

 このように,株式を巡る問題はいろいろあります。勤務の際の従業員持ち株については,会社から資料が出てくることも多いかと思われます。定期的に持ち株の状況などが会社から出ていることも多い傾向にあると思われますから,こうした資料の収集も重要になっていきます。

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