法律のいろは

離婚と慰謝料(その③)

2013年5月21日 更新 

 離婚の際の慰謝料について,

 ①離婚を余儀なくされた

 ②離婚を余儀なくされただけではなく,その行為自体への慰謝料請求が認められるもの

 について,前回・前々回と話をしてきました。

 

 このコラムで,少し前にモラルハラスメントの話をしました。①はおいておくとして②について,慰謝料が発生するでしょうか?

 身体に対するひどい程度の暴力に対しては,それ自体が違法性もあって人の身体の安全を侵害していますから,不法行為として,慰謝料が発生するものと言えるでしょう。これに対して,言葉や態度による精神的暴力とされるモラルハラスメントはどうかという話です。

 モラルハラスメント自体の内容によるというのが答えとなるでしょう。ただし,一番記憶に残るようなエピソード的な精神的暴力はあるかもしれませんけど,多くのモラルハラスメントは長い間の態度や言葉による心理的操作の側面を持っているのではないでしょうか?

 そうなると,あまりに名誉棄損的な言動など一部の程度が著しくひどいものには個別に慰謝料が生じることもあるでしょう。ただし,多くは,結婚している間に少しずつ積もっていったものとして,離婚を余儀なくされた際の慰謝料として考えることになるのではないでしょうか?

 

 モラルハラスメントの問題としては,離婚の理由になるかという点ともかかわりますが,相手方配偶者が事実を否定した場合です。モラルハラスメントの特長として,あまり客観的証拠がない場合もありえます。結婚中に日記をずっと受けていたとか・会話を録音していたとか言ったことがあれば,客観的に証拠となるでしょう。そうはいっても,録音は離婚を決意して初めてする方も多いので古い事柄に関してはない可能性も十分にあるかと思われます。過去につけていたメモでも証拠とはなりえますので,気になることがあれば書き留めておくのも一つの手かと思われます。

 

 争われた場合には,離婚裁判などで立証が必要になることがあります。先ほどの証拠をそろえるとともに,どんなことがあったのかを具体的に時系列で整理するのは極めて重要です。

 

 ちなみに,モラルハラスメントだけでは,そこまで慰謝料が多額にはならない可能性が十分にあることは頭に入れておいた方が良いと思われます。

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