法律のいろは

離婚と子供に関わるハーグ条約(その④)

2013年5月29日 更新 

 国際離婚の話とも十分関わりうるハーグ条約の話について,何度かさせて頂いています。日本でもどうやら平成25年中の加盟へ向けて動き出しているようです。

 

ハーグ条約の内容として

 ①不法な子どもの連れ去りへの返還援助

 ②子どもとの国の枠を超えた面会交流の実現の支援

 が主な内容で,①がメインです。この点も何度か触れてきました。あくまで民事手続きについてのものです。

 このうち,①の内容については,これまで2回触れてきました。今回は,子供との面会交流について触れておきます。

 

 

 ハーグ条約では,国境を越えた面会交流の実現に関する定めが置かれています。内容としては,子を連れ去られた親が,自分の国の中央当局に子供との面会交流実現の援助を申請することになります。この申請によって,子どもとの面会交流実現のための支援がなされます。支援は,子どもが今いる国の中央当局によってなされます。

 ただし,実際にどのような内容・程度の援助がなされるかは,それぞれの国(ハーグ条約に加盟している国)によって異なります。そのため,子どもの常居所地(基本的に普段生活していた国)への返還手続きの実現を原則とする,子どもの返還と比べて,実現できることにばらつきが生じかねないところです。

 ハーグ条約自体に,子どもとの面会交流実現のための詳細な定めがないところが問題かもしれませんが,国境を越えた面会交流実現のためのハーグ条約(今話題になっているのとは別のハーグ条約です)への加盟が一つのカギになるかもしれません。ちなみに,国境を越えた面会交流実現のためのハーグ条約の方は,加盟している国がきわめて少ない状況です。国境を越えた面会交流実現のための実効性を確保するための措置も一応含まれていますが,先の長いところだと思われます。

 

 ハーグ条約というと,片方の親の同意なく子どもを国外に連れ去った場合の返還のための条約というイメージが強いという印象ですけど,国境を越えた親と子どもの面会交流実現のためのものでもあるところは,頭に入れておいていただきたいところです。

 

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