法律のいろは

離婚と親権(その⑩)人身保護手続き・後半

2013年5月31日 更新 

 離婚と親権に関わる事項として,人身保護法に基づく手続きによって,子どもの引渡しを求めることがある点は前回触れました。前回は,別居中・離婚前の話でしたので,今回は離婚後について触れていきたいと思います。

 

 離婚後の親同士の間での,人身保護手続きについては以前少し触れました。裁判例は,子どもに対する監護権の有無特に親権の有無を重視しているように思われます。

 事案としては,離婚の際に子どもの親権者とされた母親が,子どもを養育監護している父親に対して,子どもの引渡しを求めたものです。判断によると,

 ①父親による子どもの養育監護が問題なく始まり

 ②父親による子どもの養育監護が長く続き

 ③子どもが父親のもとでの生活に慣れて安定している等の事情があっても

 親権者である母親のもとでの養育監護が著しく不当とは言えないから,母親への子どもの引渡しを命じたものです。

 

 ここからは,親権者からの引渡しは,たとえ子供の親であったとしても基本的には認められる可能性が高いということです。逆に親権者に対して,人身保護法の手続きを使って子どもの引渡しを求めるのは,親権者のもとで子どもを養育監護することが著しく不当と言える状態が存在しないといけないので,非常に限られた場面になると思われます。

 

 同じことは,親権者が子どもを養育監護している第3者に対して,人身保護法の手続きを使って子どもの引渡しを求める場合にもあてはまるでしょう。主には,親権者でない親の親(祖父母)や他の親族が子供の面倒を見ている場合が考えられます。なお,例外的に,こういった親族が子どもの監護権を法律的に得ている場合には,離婚前・別居中の夫婦間での場合と同じように考えられます。つまり,中々人身保護法による手続きでは子どもの引渡しは認められない可能性が高いです。

 

 既にこのコラムで紹介した家庭裁判所での調停や審判による子どもの引き渡し手続きと人身保護法の手続きのどちらを使うかは,おかれた状況によって,ケースバイケースです。このコラムでも必ずしも全てを網羅し切れてはいないので,おかれた状況によって冷静に感がる必要があります。

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