法律のいろは

管理者は残業代が出ない(?)

2013年6月1日 更新 

 管理職になったから残業代がでなくなったという言葉はよく聞きます。

 管理職と言ったら,イメージとしては課長とか部長等色々あります。実際のところ,残業代(法律上時間外・休日勤務についての割増賃金)の支払いがなくなる「管理職」とはどういったものなのでしょうか?

 

 法律では,管理監督者と呼ばれる立場の方には,残業代の支払い義務を会社は負わないとされています。ただし,法律の文言では,どのような方が管理監督者にあたるかは書かれていません。そのため,行政機関や裁判例で解釈されています。

 

 裁判例によれば

 ①経営方針の決定や従業員の労務管理に関わるなど経営者と一体の立場にある

 ②出勤・退勤について,会社から厳しい規制を受けず,自分の勤務時間についてかなり自由に決めることができる立場にあるか

 ③賃金などの待遇が,地位と責任にふさわしいだけ,一般の従業員と比べて厚遇されているか

等の点から,法律で規制する働く時間(労働時間)等の規制を受けない程度の責任と権限を持ち,勤務形態もそれに見合ったものかどうかを判断する傾向にあります。

 

 こうした判断は,結構管理監督者を制限する方向で解釈していると言えるでしょう。ちなみに,「店長」「部長」等の役職の名前ではなく,実際の勤務実態から判断される点には注意が必要です。

 

 行政機関の解釈もこれと似たような考えを一応とってはいます。ただし,異なると考えうる点は存在します。たとえば,行政解釈では,先ほどの①について,法律の労働時間の規制を超えて働かざるを得ない責任を負っているかという点に重点が置かれているように読めます。②についてもニュアンスの違いがあります。

 

 最近は,リストラが進んだことで,管理職の一部の方には,部下と同じ業務を行い上司の指揮命令を受けている場合もあります。この場合に,管理監督者にあたるかは問題になります。行政解釈では,この問題に触れたものもあり,部下の働き方との違い,部下と同じような仕事をしている時間が多い場合には,管理監督者にあたりにくいとしています。要は,部下と同じ業務が仕事の中でどれだけの割合を占めるかという問題と思われます。

 

 このように,管理者といったって,必ずしも残業代を払わないでいいのかどうかは,仕事の仕方などをよく見てみる必要があります。

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