法律のいろは

こんな理由で離婚は認められますか?(離婚理由その⑥)

2013年6月2日 更新 

 前回から,浪費や働かないことが裁判離婚での離婚理由になるか触れています。

 このうち,前回では借金の話を含め,浪費が法律上の離婚理由にあたる可能性がある場合の話をしました。今回は,働かないことが法律上の離婚理由になるかどうかについて,触れていきたいと思います。

 

 よく甲斐性がないと言われますが,働かず収入がないことは裁判離婚での離婚理由になるのでしょうか?働かず収入がないというのは,色々な場合が考えられます。まずは,失業中で働く意欲はあるけれども,収入がない場合です。この場合は,当然これだけで離婚理由があることにはならないでしょう。働く形態も様々ですし,専業主婦だけでなく専業主夫もいる時代ですし,共働き家庭も多いように思われます。基本的には,夫婦それぞれが生計の維持(生活費を稼ぐこと)への協力をしなければいけない義務を負っています。

 ですから,単に夫が働いていないとか十分な収入が得られないというのだけでは,法律上の離婚理由にあたるとは言いにくいでしょう。もちろん,夫が仕事・妻が家庭という時代でもないですし,家事労働も家庭の維持のために極めて重要な仕事です。

 

 そうはいっても,働けるにもかかわらず働かないだけでなく,ギャンブルに浸るなどした場合には法律上の離婚理由ありとされる場合もあります。働けるにもかかわらず働かないでいて,賭け事で生活費を稼いでいた夫への離婚請求の裁判では,こうした夫への不信感が長く募ったケースで夫婦関係が破綻へと至ったと判断したものがあります。

 当然のことながら,浪費があって,そのための借金も多いとかいう事情があれば,家庭をかえりみないという悪意の遺棄という法律上の離婚理由がある可能性もあります。また,経済的生活の破たんから夫婦関係が修復できないという法律上の離婚理由がある可能性もあります。

 

 これに対して,家族の反対をよそに職を転々とする場合はどうなるのでしょうか?少なくとも,しっかりと生活費を負担している等すれば,家庭をかえりみないとは必ずしも言えないでしょう。また,経済的にも破綻に追い込んでいなければ,経済的な面から夫婦関係が修復しがたいということも考えられません。

 ただし,働き方やライフスタイルの考え方が夫婦で異なってて,転職の繰り返しがそこに密接に関係していれば,事情が異なってきます。こうしたことの積み重ねや他の事情によって,性格の不一致の他に積み重なった事情があって,夫婦関係が破綻したと言える場合はあると思われます。

 

 このように,夫婦の間で積み重ねられてきた色々な事情が,離婚裁判で問題となる法律上の離婚理由が存在するかどうかを考えるうえではポイントとなってきます。

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