いわゆる国際離婚の場合で問題となるものに,日本人や永住者の在留資格を持つ方と結婚した方(配偶者)の方の日本に滞在する資格(在留資格)の問題があります。平成21年に改正された入国管理法にもやや関わるところがありますので,少し触れていきたいと思います。
従来,国際離婚で在留資格の問題が生じると考えられていたのは,「日本人の配偶者等」という在留資格で日本に滞在する方でした。それも主として,在留資格の更新に関わる場面でした。日本に滞在する資格を決める際に日本に滞在できる期間も決められます。同じ在留資格で日本への滞在を続けようとする場合に,在留資格の更新が必要となります。
問題になるのは,夫婦の関係が悪化して別居している場合に,「日本人の配偶者等」として在留資格が更新できるかという点です。更新できない場合には,他の在留資格が認められないと,不法滞在ではなく日本に住むことができなくなります。ですから,外国人の配偶者にとっては大きな問題です。
こうした問題について,裁判例では
日本人との結婚(法律上のもの)が続いていても,社会生活上の実体を失っている場合には,日本人の配偶者としての活動をしていることにはならない
と判断しています。「日本人の配偶者等」としての在留資格の更新許可は,別居する等して夫婦関係の修復が難しい場合には,下りないことになります。
ちなみに,離婚が認められない有責配偶者(多くは浮気・不倫(不貞)を行った方)と夫婦関係が修復困難でも同じであると裁判例では判断されています。つまり,裁判例上離婚が認められない場合でも,「日本人の配偶者等」としての在留資格の更新が認められない可能性があるということです。
仮に,外国人配偶者の方の在留資格の更新が認められない場合に,長く日本に滞在するには「定住者」という新たな区分で在留資格を売る必要があります。この点については次回に触れたいと思います。
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