法律のいろは

交通事故にあった事で仕事ができなくなった分の損害賠償はどうなるのでしょうか?(その④)

2013年6月4日 更新 

 交通事故にあった事で,仕事ができなくなった場合の損害賠償がどうなるかについての4回目です。

 損害の項目としては,症状固定の前が休業損害・症状固定の後が逸失利益です。症状固定とは,これ以上治療しても大きくは状態が改善しない状態のことです。前回,休業損害のうち,自分で商売をしている事業者の方について触れました。今回は,その続きです。

 

 休業損害=基礎となる収入額×休業期間

 であるのは,何度も繰り返した通りです。事業者の方については,確定申告など収入が分かり資料を基に,基礎となる収入額を算定していきます。基本的に,交通事故にあった事で収入額の減少が実際生じた場合に,休業損害があると考えていきます。

 ただし,交通事故によって収入減少がなくても,休業損害ありと考えられる場合も例外的にはあります。代表例としては

 ・被害に遭った事業者の方の家族が事故後に仕事に寄与したおかげで,収入減少を免れた場合

 が挙げられます。このほかにも,事故前に受注した仕事をこなしていただけで,新規には受注できなくなったことを考慮して,収入が交通事故後に増えた場合に,休業損害を認めた裁判例がありますが,かなり例外的な思われます。

 

 基礎となる収入金額ですが,確定申告などの資料に書かれている金額から判断するのが基本です。例外的に,こうした資料に書かれている金額以上の基礎となる収入金額を認めた例もありますけど,相当に例外的なものです。

 

 事業者の方が,交通事故にあったために働けなくなり,別の人に仕事を頼まなければいけなくなった場合の費用はどうなるのでしょうか?この場合には,頼んだ方への賃金相当額を交通事故によって被った損害と考えていくことになります。

 

 以上が,事業者の方の休業損害についての主な問題です。

○ 会社の役員の方の休業損害

 会社の役員の方は,役員報酬ということ給与をもらっている方が通常です。会社といっても,一応会社だけれども,実質は社長の個人事業という場合も多いと思われます。また,社長役員自身も従業員と同じように働いているケースも多いでしょう。ただし,役員報酬とは,会社の利益の中から配当する性質も持っているため,本当に休んだらもらえなくなるものなのかが大きく問題になってきます。

 実際,日本では従業員数が極めて少ない会社が多いところです。先ほど述べた役員報酬の性質もあって,交通事故における損害賠償請求では,会社役員の方の休業損害・逸失利益については,もめる大きな原因の一つになっているとの印象があります。

 

 そうした会社役員の方の問題点について,詳しく次回に触れていきたいと思います。

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