交通事故にあった事で,仕事ができなくなった分の損害賠償として,後遺症逸失利益について話をしています。今回も続きです。
後遺症逸失利益を考えるにあたっては
①基礎となる収入
②労働能力喪失の程度・後遺症の程度
③労働能力を喪失する期間
が問題となってきます。簡単には一通り触れましたが,少し詳しく見ていきたいと思います。
まず,①基礎となる収入についてです。
基本的には,以前触れた休業損害と大体同じですが,基本的に事故前に現実として得ていた収入を基礎とします。
まず,給与生活者ですが,休業損害の場合と基本的には同じです。ただし,逸失利益を考えるにあたっては,交通事故に遭う前の特金3か月の平均給与ではなく,年間給与をベースにするのが一般的です。もっとも,日雇労働の場合には基本的には休業損害の場合と同じく交通事故前の直近3か月における収入をベースに考えます。
休業損害の場合と違う点として,大体30歳未満の若年の方の場合が挙げられます。逸失利益は将来得るはずの収入が得られないことへの穴埋めが問題となります。この点で,現実の減収を基本的に問題とする休業損害とは違いがあるからです。
若年の方の場合は,原則として,全年齢平均の賃金センサスを使って基礎となる収入を考えていきます。復習ですが,賃金センサスとは賃金に関する統計資料のことです。賃金に実態を男女別・雇用形態・年齢・学歴・職種等等に応じて集計されています。
逸失利益は,症状固定してから後の収入を問題にするものですから,いつの時点の賃金センサスを使うかは問題となります。一般には,後遺症逸失利益の場合には,症状固定時の賃金センサスを使うと考えられています。ただし,未就労の方の場合等には例外があります。
ちなみに,若年の方でも,実際の収入額が年齢別の平均賃金とあまりにも差が大きく,将来的にも全年齢平均賃金が得られる見込みがない場合には,例外として考えることになります。この場合に,実際にどう考えるかはケースにもよりますが,全年齢平均賃金からいくらか減額して考えることもあります。
次回に続きます。
早くから弁護士のサポートを得ることで、解決できることがたくさんあります。後悔しないためにも、1人で悩まず、お気軽にご相談下さい。誠実に対応させていただきます。
© KEISO Law Firm. All Rights Reserved.