法律のいろは

離婚と財産分与(その⑮)

2013年6月21日 更新 

 離婚後に,元夫婦の一方だけが仕事も収入もなく暮らしていて経済的に厳しい状態になるのは,十分出てくる可能性のあることです。

 こうした状態で,せめて経済的に自立するまで公平の点から生活費の負担義務を離婚後も認めさせようという考えが,離婚後の生活の援助としての財産分与です。

 

 こうした財産分与の形が可能性としてあることは前回触れました。今回は続きですが,今話しましたところからすれば,あくまで離婚後に自立できるようになるまでの生活費の負担が支払うべきお金ということになります。

 この生活費がいくらになるのかという点ですが,離婚前の生活費(婚姻費用)の金額が参考にされることになります。

 

 ただし,注意するべき点があります。それは,離婚後は生活費の支払い義務が存在しないのが原則という点です。離婚前の生活費の支払い義務は,夫婦はそれぞれ自分の生活を犠牲にしても相手に同等の生活を維持させることを前提として考えられています。離婚後まで,こうした前提で生活費の支払い義務を負わせることは適当ではないという扱いがされています。

 ですから,離婚前の生活費(婚姻費用)の金額が参考にされるにしても,あくまでも支払う側に余力がある範囲内での生活費の負担義務を生活援助としての財産分与で考えていくことになります。

 

 また,離婚後に経済的に自立できないというだけでなく,離婚後に元夫婦間で明らかな経済格差が発生した場合に公平の点が重視されます。つまり,離婚後に経済的に自立できないから直ちに離婚後の生活援助としての財産分与がもらえるわけではないという点にも注意が必要です。

 一般に,離婚の際に夫婦で作った財産の清算としての財産分与や慰謝料によってある程度の金がもらえる場合や,十分に財産を持っている場合には,公平の点からの離婚後の生活援助(財産分与)は認められないように扱われています。

 

 次回少し補足します。

 

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