法律のいろは

婚姻費用とは何でしょうか?(その④~婚姻費用算定表の見方~)

2013年6月26日 更新 

 前回、前々回にわたり婚姻費用算定表のベースとなる算定方式について少し詳しめにお話ししました。

 今回は、婚姻費用算定表の見方などについてお話ししたいと思います。

 まず、婚姻費用(生活費)か養育費なのか・子どもの人数と年齢によって使う表を選びます。婚姻費用(生活費)の支払を求める者・支払う義務ある者かによって縦軸か横軸か異なってきます。その上で、収入が給与か自営での収入なのかにより欄を選びます。

 選んだ支払を求める者の収入欄を上に、支払う義務ある者の収入欄を右に伸ばし、交差した額の欄がベースになる婚姻費用(生活費)の支払額となります。1~2万円の幅を持った金額になっているのは養育費の場合と同じです。

 また、光熱費の負担・住宅ローンの負担や医療、塾など習い事などの費用はその幅の中で調整することになります。双方の納得が得にくい場合は、中間のところにすることもあります。

 

 こうして、支払を求める者・支払義務ある者の収入に応じ、表に当てはめて婚姻費用(生活費)の金額を導き出していきます。

◎ 収入がゼロの場合はどう考えればいいの?

 支払をしてもらう者が収入がない場合

 支払をしてもらう者が病気で働いていない、あるいは子どもが小さく、面倒を見ていて働くのが難しいため、収入がないといったケースが考えられます。

 収入がない以上は、原則として収入はゼロと扱うことになります。もっとも今は働いていないけれども潜在的には働く能力があれば、収入を推定して計算することもありえます。

 ただ、子どもの年齢や健康状態から現に働けない、あるいは雇ってくれるところがないという場合もありえます。そうであるにもかかわらず、働こうと思えば働けるのだからと収入を推定して計算し、本来もらえるはずの婚姻費用(生活費)が少なくなるのは酷といえます。

 ですので、収入を推定して考えるのは慎重であるべきでしょう。

 なお、仕事により収入を得ていないが、生活保護をもらっているというケースもあります。

 生活保護はあらゆる資産その他を活用しても、最低限の生活保障ができない場合に国が支給するものです。本来婚姻費用(生活費)の支払があれば、生活保護を受けなくてもいいはずです。そうであるにもかかわらず、婚姻費用(生活費)で受け取れる額が少なくなると、支払義務を負う者が果たすべき扶養義務をしなくてもいいことになりかねません。

 このことから、婚姻費用(生活費)の支払を受ける者が生活保護を受け取っていても、収入はゼロと考えるべきでしょう。

 

 支払をする者が収入がない場合については、次回お話ししたいと思います。

 

 

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