法律のいろは

婚姻費用とは何でしょうか?(その⑤~収入がゼロの場合は?)

2013年6月27日 更新 

 前回、婚姻費用算定表の見方と、婚姻費用(生活費)の支払を受ける者が収入がない場合にはどう考えればいいのかをお話ししました。

 今日は、婚姻費用(生活費)の支払をする義務ある者の収入がないときは、どう考えるべきかをお話ししたいと思います。

◎ 収入がゼロの場合はどう考えればいいの?(つづき)

 支払う義務ある者の収入がゼロのとき

 実際、無職で収入が全くない場合には、原則として収入はゼロと考えざるを得ません。ただ、本当は働けるのに、婚姻費用(生活費)を払いたくないからなどの理由で職についていない場合にも、収入をゼロと考えるのは腑に落ちないところがあります。

 ですので、このような場合は、本当は働こうと思えば働ける能力があるとみて、収入を推定するのがよいでしょう。

 収入を推定するにあたっては、婚姻費用(生活費)を支払う義務を負う者の年齢・これまでの職歴や収入・今の健康状態などにより考えていくことになります。

 今現時点での収入がないとき、賃金センサスからおおよその収入を推定して考えるのも一つです。

 賃金センサスは、「賃金構造基本統計調査」という、厚生労働省統計情報部が毎年実施しているものをまとめたものです。

 ただ、この賃金センサスは、資格を持っていたり、これまで定職について仕事をしたことがあり、わりと早期にまた定職に就くことができそうな場合と、そうでない場合で適用区分が異なってきます。

 すぐに定職につけなさそうなときは、短時間労働者の年間収入を参考に考える方法もありえます。

 また、無職の場合、生活保護を受給していることもありえます。生活保護は、あらゆる方法によっても最低限の生活を維持できない人に対して支給されるものであることを考えると、保護費を収入とみて婚姻費用(生活費)の支払義務があるとするのは難しいでしょう。

 

 次回も、さらに婚姻費用(生活費)の算定にあたって問題になりうる点についてお話ししたいと思います。

 

 

 

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