法律のいろは

交通事故にあった事で仕事ができなくなった分の損害賠償はどうなるのでしょうか?(その⑭)

2013年6月28日 更新 

 前回,後遺症逸失利益を考えるうえでの①基礎となる収入という問題について,学生などの若年の方はどうなるのかという話を触れました。

 ここでいう逸失利益のスタートとなるのは症状固定と判断された時期です。終わりは原則として67歳となります。

 

 まず,前回の補足ですが,年小の女子については男女別ではなく男女の合計で賃金センサス(賃金統計)上の収入を考えるという話をしました。ここでいう年小とは,基本的には中学生までの学生を考えます。場合によっては高校生までを考えることがあるのですが,難しいところもあります。

 

 次に,前回,大卒を前提とした逸失利益が大卒を前提としない場合の逸失利益を下回る可能性があることに触れました。

 ケガの程度が軽くないと,大卒を前提とすると

 基礎収入×労働能力喪失率×(67歳までのライプニッツ係数-22歳までのライプニッツ係数)

 大卒を前提としないと

 基礎収入×労働能力喪失率×(67歳までのライプニッツ係数-18歳までのライプニッツ係数)

 と計算します。

 

 具体的に,10歳の男の子が8級の後遺症を残した場合を例に挙げます。

 大卒を前提とすると,賃金センサスでは大卒男性全年齢計年収は平成22年で約633万円です。8級の労働能力喪失は45%,67歳までのライプニッツ係数は18.765,22歳までのライプニッツ係数は8.8633です。そのため

 633万円×45%×(18.765-8.8633)=2820万150円

が逸失利益です。

 大卒を前提としないと,全年齢計・年学歴計年収は平成22年で約523万円です。18歳までのライプニッツ係数は6.4632です。そのため

 523万円×45%×(18.765-6.4632)=2894万8050円

が逸失利益です。

 

 そのため,2894万8050円ー2820万150円=74万7900円

 が大卒を前提としない方が逸失利益が高くなっています。

 

 このような状況が出てくることもあります。次回に続きます。

 

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