法律のいろは

離婚と年金分割(その⑨)

2013年7月22日 更新 

 離婚の際の年金分割について,何度かに渡り合意分割に関わる点を触れてきました。

 

 今回は,3号分割について補足をしたいと思います。

 年金分割には,合意分割の他に3号分割という種類があることは触れました。3号分割は,平成20年4月以降の離婚の場合に適用となります。合意分割との大きな違いは,平成20年4月以降の3号被保険者に夫婦の一方が入っていた婚姻期間についてしか年金分割の対象とならない点です。この期間は,夫婦の一方が被用者保険(厚生年金や共済など)に加入していて,もう一方が厚生年金法上の第3号被保険者である必要があります。

 補足ですが,第3号被保険者とは,被用者保険(厚生年金や共済など)に加入している方に扶養してもらっている20歳以上60歳未満の配偶者の方のことです。第3号被保険者になった際,第3号被保険者から外れた際には,被用者保険に加入している方の勤務先にその旨の届け出をする必要があります。

 

 分かりにくいですが,①平成20年4月以降の期間でかつ②厚生年金保険法上の第3号被保険者である期間,があればその期間の年金分割が行われるという制度です。

 

 3号分割では,合意分割とは異なり,夫婦の合意がなくても,被用者保険に加入している配偶者の厚生年金記録にもとづき年金分割がされることになります。分割の割合は,0.5となりますので,一々分割の割合を定める必要はありません。

 ですから,夫婦の話し合いがつかないからということで,家庭裁判所が年金分割に関わることもありません。分割した後の年金額は,年金分割後の厚生年金記録にもとづき,(元)夫婦それぞれで計算されることになります。分割されるのは,婚姻期間中の厚生年金記録についてだけです。

 

 注意するべき点として,3号分割でも合意分割と同じ2年の期間制限があります。詳しくは,離婚と年金分割⑥をご覧ください。

 

 次回に続きます。

 

 

 

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