法律のいろは

離婚と年金分割(その⑩)

2013年7月24日 更新 

 離婚の際の年金分割について,前回3号分割の話を補足しました。今回はその続きです。

 

 3号分割の請求があると厚生年金記録は当然に二分の一で分割されたものと扱われます。分割をした方・分割を受けた方は,それぞれ分割された後の厚生年金記録にもとづいて,年金額が計算されます。

 注意すべきは,これはあくまでも厚生年金や共済年金等についてです。そのため,国民年金の老齢基礎年金等の一階建て部分とよばれるものは影響をうけません。こうした一階建て部分は,元夫婦となる分割をした方・分割を受けた方,それぞれの年金記録によって受給できるか・受給金額が決まります。

 また,分割を受けた方が現在年金を受けている場合には,年金分割の請求をした翌月から年金額が分割を踏まえた金額にかわります。一方,分割を受けた方がまだ年金をもらっていない場合,将来支給開始される年齢になる・分割を受けた後も含めて受給資格期間(保険料の納付実績など)を満たしている,ということがないと厚生年金や共済年金などを受給できません。

 

 今後の離婚に関しても,合意分割を行う際に3号分割の期間を含んでいる方も出てくると思われます。この場合には,合意分割の請求を行った際にあわせて,3号分割の対象となる期間については,3号分割の請求があったものとして取り扱われます。

 

 細かな点ですが,3号分割は障害厚生年金を受給している方が分割をされる方である場合には,3号分割請求が認められない場合があります。これは,障害厚生年金を保護するための特例によって定められています。3号分割は合意なくとも半分ずつ年金分割をするせいどなので,強制的な分割ともいうことができます。

 障害厚生年金を分割の対象から外すために,分割している方が今受けている障害厚生年金の年金額計算の基礎となる被保険者期間を年金分割の対象から外すというものです。

  分かりにくいですが,このことによって,今,受け取っている障害厚生年金の額を保護することになります。

 

 次回に続きます。

 

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