交通事故にあった後に後遺症が残った場合に,後遺症が残ったことで働けなくなった部分の損害賠償(後遺症逸失利益)について,これまで何度か触れてきました。これまでは,基礎となる収入について触れてきました。
以前も触れましたように,基礎となる収入のほかに
①労働能力喪失の程度・後遺症の程度
②労働能力を喪失する期間
が,後遺症逸失利益を考えるうえでは問題となります。
本来の順番であれば,①から触れていくことになるのですが,長くなるため先に②につい
て触れていきます。
後遺症によって労働能力が失われるスタートの時点は,原則として症状固定日です。
症状固定日とは,あくまで治療を続けてもこれ以上劇的に症状の改善が見込まれない状
況に到達した日ということができます。そうした時期をいつにするかは,主治医と状況
をみながら考えていくことになろうかと思われます。医者の方の判断を前提にはしてい
きますけれども,あくまでも損害賠償や保険の話をする際に考えるものであるという点
には注意が必要です。
ただし,学生などの未就労の方については,大学卒業を前としなければ18歳を開始時期
と考えます。大学卒業を前提とすると22歳と考えます。これは,逸失利益が,交通事故に
あわなければ得られたはずの収入の賠償を問題にするからです。
労働能力喪失期間の終わりは67歳と基本的には考えられています。症状固定の日に
交通事故の被害にあった方が67歳を超えていた場合はどうするのかが問題となりま
す。この場合は,終わりは,簡易生命表で書かれている症状固定辞典での平均余命の二分
の一となります。
症状固定時から67歳までの期間が症状固定時点での簡易生命表で書かれている平均
余命の二分の一よりも短くなる場合にも,平均余命の二分の一をもって終わりの時期と
考えられています。
補足を含め,次回に続きます。
早くから弁護士のサポートを得ることで、解決できることがたくさんあります。後悔しないためにも、1人で悩まず、お気軽にご相談下さい。誠実に対応させていただきます。
© KEISO Law Firm. All Rights Reserved.