法律のいろは

離婚と年金分割(その⑪)

2013年7月31日 更新 

 離婚の際の年金分割についてこれまで何度か触れてきました。今回は,補足をしたいと思います。

 

 年金分割を通常はすることが多いと思われますが,年金分割をしないという合意をすることは可能かという問題があります。年金分割自体の請求は,合意分割であっても最終的には厚生労働大臣等に対して行うものです。ですから,いかに夫婦の約束があってもここまでは縛ることはできません。

 ただし,合意分割には按分割合を合意する必要があるため,こうした合意の手続きが必要になります。この手続きを行わないという内容の合意であればすることができるかと思われます。

 

 これに対して,3号分割は合意のための手続きというものがありません。年金分割の請求を厚生労働大臣等に行えば,自動的に半分の割合で厚生年金記録が分割されることになります。先ほど触れた年金分割自体は縛ることができないということろからすれば,3号分割部分は夫婦の合意があっても意味を持たないことになります。

 

 このほか,以前合意分割では按分割合は0.5が基本だけれども,例外的に0.5よりも小さくできる場合があるという話をしました。慰謝料の支払い(増額含む)や離婚の早期成立のための交渉材料として按分割合を調整するという考えはありえます。

 そうはいっても,年金分割ができた理由,つまり高齢になった後の生活保障という点は頭に置いておいた方がいいかと思われます。年金の高齢になった後の生活保障の機能は今も非常に大きいものがあります。今の問題のために,将来を犠牲にするのは将来に大きな問題を残す可能性もあります。

 

 場合によっては,按分割合を低くする必要が出てくることもあるかもしれませんが,判断は慎重にすべきではないかと筆者は個人的には考えます。

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