法律のいろは

離婚後の養育費(その⑰)

2013年8月11日 更新 

 以前に,働けるのに働こうとしない場合に,収入をゼロとしては考えないという話をしました。注意点ですが,働こうとしても働けないために無職で収入がゼロであれば,収入はゼロとして扱うことになります。誤解があってはいけませんので,この点を補足しておきます。

 

 今回は,この話に関連して,養育費を支払うべきとされる親が生活保護や失業保険の給付を受けている場合をどう考えるのかについて,触れていきます。

 

 まず,生活保護を受給している場合です。生活保護の制度は,国が困窮した人に最低限度の生活を保障するために設けられた制度です。

 利用できる資産や能力,その他法律上の扶養義務者の扶養が期待できない等の事情があって,支給されるものです。法令で定めらている基準収入額を下回る収入しかない場合に,その差額が保護費として支給されます。

 こうした最低限度の生活を養育費の支払い義務を負う人に保障するために,生活保護が開始されている場合には,養育費の分担をさせるのは生活保護の考え方に反することになります。離婚前に婚姻費用の分担をさせる点について同様です。

 そのため,養育費の支払い義務を負う人が生活保護を受けている場合には,養育費の分担義務を負わないことになります。

 

 次に,養育費の支払い義務を負う方が失業保険の給付を受けている場合です。失業給付は,失業している方が生活の心配なく再就職活動をできるようにするためのお金と考えられます。生活保護とは違いますので,この場合は養育費の支払い義務を負います。ちなみに,いわゆる勤め人(給与で生活をしている方)は,そのための経費が必要になるために,養育費の算定方式上,経費分(総収入の20%程度)が差し引かれています。働いていない場合には,再就職のための費用は掛かるところですが,働くこと自体での経費はかからないために,こうした経費を引くことなく収入を考えていくことになります。注意が必要な点です。

 

 次回に続きます。

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