法律のいろは

婚姻費用とは何でしょうか?(その⑯)

2013年8月12日 更新 

 婚姻費用についてこれまで何度か触れてきました。以前,別居している場合でも婚姻費用の支払い義務は生じるという話をしました。今回はこの辺の補足などをしていきたいと思います。

 

 法律上,夫婦は同居するとともに互いに助け合わなければいけない・婚姻費用(生活費)の分担義務が義務付けられています。こうした同居や互いに助け合うことは生活費の分担義務と合わせ鏡の関係になります。ですから,たしかに,婚姻している以上は基本的に婚姻費用の支払い義務は生じますが,同居義務等に大きな違反があれば婚姻費用の支払い義務が生じなくなる可能性自体はあります。

 

 問題は,よく伺う「別居の原因が相手にあるから支払いをしなくてもいい」ということがいえるかどうか・いえるとしてどんな場合に言えるのかということです。ここでは,家を出て行った側が,未成年の子どもを連れて行ったことを前提にします。

 注意していただきたいのは,未成年の子どもがいる場合には,子どもに対する養育費部分の負担は必ず生じるという点です。そのため,先ほど挙げたような言い分があるのしても,子どもの養育費部分の婚姻費用の負担義務は負うことになります。

 同居義務の著しい違反など完全に出て行った側に別居の原因があると言える場合には,出て行った側の配偶者への生活費負担は生じないことはありえます。ただし,同居義務への著しい違反はそう簡単には認められない点には注意が必要です。同居義務には「正当な理由」があれば,果たさなくても問題はなく,結局は「正当な理由」に入ればそもそも違反さえないことになる点にも注意は必要です。どのような場合が「正当な理由」となりうるかは,いずれ触れたいと思います。

 

 以上のような話から,別居には出て行った側に責任が一方的にあると思っても,そう簡単にそうはならないこともよく注意しておくべきです。別居した際には,出て行かれた側がおかしいととかく考えがちになるものです。この点は,周りの方や第3者に話を聞いてみるのがいいかもしれませんね。

 

 次回に続きます。

 

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