法律のいろは

婚姻費用とは何でしょうか?(その⑰)

2013年8月16日 更新 

 婚姻費用の金額を考えていくうえで,算定表で考慮する収入の話は以前しました。今回はその補足です。

 小さな年齢の子どもがいる場合には,児童手当(一時期は子ども手当と呼ばれていました)等の公的なお金の支給がなされることがあります。こうした公的なお金の支給は収入に加算するのでしょうか?

 

 基本的に,こうした公的扶助には,私的扶助(この場合は生活費の負担,婚姻費用の負担)が優先されることになります。あくまで,公的扶助は私的扶助を補完する意味合いのものです。ですから,こうした公的扶助でもらうお金を収入に入れて考えることは基本的には避けるべきです。

 

 次に,婚姻費用を払うべき方が実家から援助を受けている(たとえば,毎月仕送りなどの名目でお金をもらっている)場合に,この援助を収入と考えることになるのでしょうか?

 こうした実家からの援助は,実家から好意でもらっているものです。実家から贈与を受けたといえるものですが,収入として考えて算定表上考慮するのは基本的には加算対象とはなりません。

 

 これに対して,婚姻費用を払ってもらう方が実家からの援助を受けている場合にはどう考えるべきでしょうか?この場合でも先ほど述べたことと同じことが基本的には当てはまります。ただし,援助をあてにして働けるのに働かない場合には違った考慮が必要になります。この場合には,潜在的稼働能力があるものと考えるべき場合も十分出てきます。その場合には,収入を推計して算定表上も考慮していくことになります。

 どのくらいの収入を推計するかは難しい問題です。ここでは,女性を念頭においていきます。以前総合職でバリバリ働いていても,子育てのため一度退職するとかつてのキャリアをそのままいかすのは難しいとことがあります。

 子どもの年齢などからすると,収入額の推定だけでなく,潜在的稼働能力があるものとして扱うのがいいのかどうか問題になる場合もありえます。この話は既にこのシリーズのその④で触れました。先ほどの潜在的稼働能力があるものと考えていくべきというものは,子どもの年齢などから見て稼働に問題はないけれども,援助をあてにして働いていない場合には,特に大きく考慮されることになるものと思われます。

 

 次回に続きます。

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