法律のいろは

解雇って?(その④)

2013年8月16日 更新 

 以前,懲戒解雇について一般的な部分に関して話をしました。今回は,簡単な復習を兼ねつつ,割と問題になる場合の一つに触れたいと思います。

 

 その問題とは,従業員の方が私生活で問題を起こした場合に懲戒解雇をできるのかという話です。

 

 まず,復習ですが,懲戒解雇とは,従業員の方が会社の秩序に対する大きな違反行為をした場合に解雇という形で制裁を科すものと簡単にはいうことができます。懲戒処分は,けん責(注意)にはじまり,減給等色々な種類があります。ちなみに,減給については法律上上限の制限があります。

 こうした懲戒処分を科すには,どういった懲戒処分をどういった場合に課すのかを就業規則に書いている必要があります。しかも,その内容は従業員の方に周知していないといけません。

 実際に,懲戒解雇にするには,①就業規則に定めた懲戒解雇となる事柄があったこと②その事柄に懲戒解雇をすることが社会的に見て相当であることが必要になります。このほか,法律上要求される解雇に必要な手続きを行う必要があります。就業規則で必要な手続きを定めていれば,その手続きも必要になります。

 ②を考えるうえでは,

 ア 処分の内容と従業員が起こした事柄が釣り合っているのか

 イ 処分の内容によって,会社の秩序を回復するのに必要・十分なものか

 ウ 以前同じようなことをした従業員に対する扱いとバランスが取れているのか

 等色んなことを考慮する必要があります。この考慮する点はより複雑ですので,補足をしたいと考えています。

 

 私生活の事柄と会社での事柄は別ではないかと考える向きもありえます。ただし,以下に私生活上の話でも,従業員の行為が会社の活動に関係することもありますし,会社の信用を傷つけることもありえます。従業員が事件を起こした場合が代表例ですが,最近では飲酒運転で検挙されたこと等が発覚した場合が考えられます。

 裁判例では,こうした私生活の事柄についても懲戒解雇をする可能性を認めています。いくつかの事情を考慮の上,そうした事柄が会社の社会的信用を相当重大な悪影響をもたらすと客観的に評価できる場合であると判断しています。

 そうした事情として

 あ 私生活で問題となった事柄の内容や情状

 い 会社の事業の種類・地位・規模・経営方針など

 う 問題となった従業員の会社における地位や職種など

 え その他

 が挙げられています。

 

 飲酒運転についていえば,社会的にここ数年大きな非難が向けられている行為です。そのため,非常悪い行為であると考える向きもあるでしょう。ただし,業務時間外に会社とは関係なく飲酒運転をした行為は,会社とは関係ないのが原則です。ここに飲酒運転の難しいところがあります。実際どのような場合に,懲戒解雇がありうるのかについては,次回に触れたいと思います。

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