法律のいろは

残業代とは何でしょうか(その③)?

2013年8月24日 更新 

 前回は,法律上の時間外割増賃金と会社所定の時間外割増賃金の話について触れました。そのうえで,そもそも労働時間(勤務時間)とは?ということで,裁判例上言われているところの労働時間とは何かということについても話をしました。今回は,労働時間とは?ということについての続きです。

 

 労働時間とは,難しく言えば,会社の指揮命令が及んでいる(と評価するべき)時間のことです。休憩時間とは正反対の言葉ということになります。休憩時間は前回触れたように,仕事をするかどうか(仕事から離れるかは)従業員の完全な自由のもとにあるからです。

 よく残業(特に法律上の時間外労働)にあたるかどうかが問題になるのは,会社の終業時間(仕事の終わりの時間)を超えて仕事をしたことが残業にあたるかどうかです。終業時間を超えて仕事をしたのだから,当然残業だろうと考えるかと思われます。

 もちろん,実際のところ,そう判断される場合は多いかと思われます。これは,それまで会社から指示されていた仕事を従業員がしているためと考えられうケースが多いからですね。こうした場合にあたらないようにするための簡単な方法は,会社の側で従業員に帰るよう命じることですが,はっきりとした形である必要があります。

 ただ,いかに早く退社するように会社が行っていたとしても,短い納期で仕事をするよう従業員に命じていたため,従業員としては終業時間後も仕事をしないと間に合わないような場合には話が異なります。この場合は,納期の設定により,結局のところ残ってでも仕事を終わらせるように仕向けた⇒残業を従業員は余儀なくされたものと考えられるからです。

 

 これに対して,従業員の方が仕事を家に持ち帰って行った場合はどうなるのでしょうか?従業員が自由に仕事を持ち帰って仕事をしたのであれば,当然労働時間にはなりません。とはいえ,何の理由もなく仕事を家に持ち帰る人はいないというところもあります。先ほどの話と同じように,家に仕事を持ち帰らないと納期に間に合わないという事情があれば,当然仕事を持ち帰ってでもしないといけないわけですから,労働時間にあたります。普通終業時間後でしょうから,残業となるところです。

 

 これに対して,始業開始前の仕事については少し話が変わってくる点があります。この点についてはいずれ触れたいと思います。次回に続きます。

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