法律のいろは

別居後に同居を求めることはできるのでしょうか?

2013年9月5日 更新 

 離婚が問題となる際に,突然家を出て行って別居したというケースはよくあると思われます。離婚したくないというのであれば,夫婦関係を修復して同居したいと考えるのが普通です。家庭内別居という言葉もあるくらいですが,そもそも,別居とはどのようなことをいうのでしょうか?

 

 実は,以前このコラムで別居とは何かという話を触れました。復習を兼ねていえば,ここでいう別居とは,離婚原因の表れ,夫婦の関係が壊れていく方向にあるか・実体を無くしているのかという点が問題となるものです。単身赴任という状態もあるところですから,違うところに住んでいるのかが絶対必要というわけでもありません。愛情もなく,夫婦関係を続けようという意思が感じられない夫婦関係の実体がない状態を別居ということになろうと思われます。

 

 ところで,夫婦には婚姻している限り,同居して協力する義務があります。よく問題となる話として,別居しているのは義務放棄なのではないか?ということです。特に,妻が家を出て,夫に婚姻費用を請求する場合に出てくる話という印象があります。夫側から,自分は同居の義務を果たさないのに,なぜ自分は婚姻費用(生活費)の支払い義務だけ負わないといけないのかという話で出てくることが多いように思われます。

 この問題については,「婚姻費用とは何でしょうか?(その⑯)」で触れたところです。復習しますと,同居義務への完全な違反があれば,婚姻費用の支払いを免れる(ただし,未成年の子どもの養育費部分は別)こともありますが,免れるのは相当難しいというものです。同居義務の違反は,同居しないことに「正当な理由」があれば,ないことになります。ここにいう「正当な理由」があるかどうかが大きな問題となってきます。

 「正当な理由」があるかどうかは,同居を求めることの審判の中で大きく問題となっていきます。同居を求めるのであれば,夫婦関係円満調整か同居を求める調停を家庭裁判所に起こすことになります。もちろん,その前に夫婦同士(あるいは親族や友人を交えて)で話をして,そこで解決するのであれば,問題にはなりません。場合によっては,弁護士を間に入れて話し合うということも考えられなくはありません。ただ,それが難しい場合には,家庭裁判所での調停・審判による解決を考えることになります。

 調停では,同居についての夫婦双方の意思や,同居の障害になっている事情を調停委員が聴きとって,その事情を取り除けるかということで,再度の同居が可能かどうか等の点の話し合いをすることになります。この段階で解決することもあれば,折り合いがつかないケースもあります。その場合には,審判に移行することになります。

 

 次回に続きます。

 

メールフォームもしくはお電話で、お問い合わせ・相談日時の予約をお願いします

早くから弁護士のサポートを得ることで、解決できることがたくさんあります。後悔しないためにも、1人で悩まず、お気軽にご相談下さい。誠実に対応させていただきます。