法律のいろは

ハラスメントと労働問題(その⑰~セクハラとは?(14)~)

2013年9月5日 更新 

  前回は、労災か判断する要件のうち、「特別な出来事」にあたる出来事がないときの評価の仕方についてお話ししました。

  今回は、まず出来事が複数ある場合の評価の仕方についてお話しします。

 たとえば、被害者が会社の上司とのトラブルがあった上、セクハラを受け、それによりうつ病にかかった場合を考えてみます。

 このように、うつ病(対象疾病)の発病に関係する業務による出来事が複数ある場合には、以下のように考えます。

①・ 「特別な出来事」にあたる出来事がある場合→心理的負荷の総合評価が強かどうか判断

   ・「特別な出来事」にあたる出来事がない場合→別表1「具体的出来事」のどれにあたるか、あるいは近いかで心理的負荷を評価

 →いずれかの出来事で「強」であれば、業務による心理的負荷を「強」と判断

② いずれでも単独で「強」とならない場合

  複数の出来事が関連しているかどうか判断して、

 ・出来事が関連して発生→全体を一つの出来事として評価して、原則として最初の出来事を「具体的出来事」として別表1にあて  

  はめ、関連している出来事は出来事後に生じた状況と考え、全体的に評価。

 ・出来事が関連していない場合→出来事の数、各出来事の内容、時間的にどのくらい空いているかなどをみて、全体的に心理的な

  負荷がどうであったか考えていきます。

 

  たとえば、上司から業務に関して強い叱責を受け、その際に性的言動を受けた、という場合は,まず、出来事が関連して発生し ているといえます。そして、最初の出来事である、上司による強い叱責を「具体的な出来事」とみることになりますが、これは心理的負荷の強度が「中」となります。そして、性的な言動がその1回かぎりで終わったのであれば、心理的負荷が「中」となります。しかし、その後も継続的にその上司から性的言動を受け、会社もそういった状況であることを把握しながら、適切な対処をとらなかったのであれば、心理的負荷の程度が「強」となります。

 なお、出来事後に生じた状況については、

ⅰ 仕事の裁量性がなくなった

ⅱ 職場環境が悪化した

ⅲ 職場の支援・協力などが欠けている

ⅳ これ以外の状況で、出来事に伴い発生したと認められるもの

があれば、ひどいときは場合によって総合評価として「強」に行きやすくなります。

 次回は、労災が認められるための、他の要件について少し触れたいと思います。

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