法律のいろは

残業代とは何でしょうか(その⑤)?

2013年9月19日 更新 

 残業代が払われるべき時間(労働時間)とは,どのようなものであるかを,ここ何回か触れています。今回もその続きです。

 労働時間とは,難しく言えば,会社の指揮命令が及んでいる(と評価するべき)時間のことです。ですから,労働時間ではないとは,仕事をするかどうか(仕事から離れるかは)従業員の完全な自由のもとにある時間ということになります。この点は復習です。

 

 前回まで出張等の際の移動時間について触れました。今回は,会社の行事等について少し触れていきます。各会社では,それぞれ各種宴会がなされている例が多いのではないでしょうか?つきあいで参加せざるを得ない等,様々な事情があると思われます。こうした会社の宴会への参加は労働時間(勤務時間)にあたるのでしょうか?

 上司等との関係から参加せざるを得ないのだから,自由な時間ではない,だから労働時間だという考えも出てくるところです。しかし,宴会とは基本的には仕事とは何の関係もありません。せいぜいが,会社内での親睦を図るというものです。単に付き合いといっても,参加しないと,会社からの人事査定がマイナス評価される等,仕事をさぼったのと同じように評価され,その時間離れるかどうかが従業員の方に自由に決められえないという事情でもない限りは,自由に仕事から離れられないとは言えません。

 ですから,基本的に会社での宴会の時間は,労働時間とはいえません。同じことは,旅行で会社内の親睦を図ろうとする,社員旅行についても当てはまるでしょう。

 

 ちなみに,接待のための飲み会の場合はどうなるでしょうか?この場合は,仕事としての営業活動だから,労働時間であるという考えも出てきやすいところです。ただ,接待といっても,会社での仕事上の必要性が高く,業務命令としてなされる場合から,そういったことはないけれども自発的になされる場合まであります。

 業務命令が出ている場合は,仕事そのものですから,当然接待は労働時間になります。しかし,そうした事情がない場合は,単なる自主的な飲み会との違いは薄くなります。そのため,もともと商談を兼ねた営業目的の接待飲み会とはっきり言える場合くらいしか労働時間とは言いにくいように思われます。

 ですから,接待の飲み会といっても,そう簡単に労働時間とはなりえないでしょう。同じことは,接待ゴルフについてもあてはまると考えられます。

 

 このように,会社の行事だから等といって,簡単に労働時間とはならない点には注意すべきです。次回に続きます。

 

メールフォームもしくはお電話で、お問い合わせ・相談日時の予約をお願いします

早くから弁護士のサポートを得ることで、解決できることがたくさんあります。後悔しないためにも、1人で悩まず、お気軽にご相談下さい。誠実に対応させていただきます。