法律のいろは

離婚後の生活について(公的給付①~児童扶養手当~)

2013年9月13日 更新 

 夫婦生活を清算して、新しい生活を…と思っても、まっさきに心配なのが離婚後の経済面についてでしょう。そもそも離婚後の生活のことが心配で離婚に踏み切れない、あるいは別居も迷う、という方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

 今回からは、離婚後(あるいは離婚前も含め)どういった公的制度が利用できるのかについてお話しをしてみたいと思います。

○児童扶養手当・児童手当

 一定の要件を充たした18歳以下の児童をみている(監護している)母、監護し、かつ生計を同じくしている父などに一定額の現金が支給されるというものです。

 上記のとおり、現在では母親だけではなく、父親についても支給されるようになりました。

 受給資格は以下のとおりとなっています。

① 父母が婚姻を解消した児童

② 父または母が死亡・または重度の障害がある児童

③ 父又は母から引き続き1年以上遺棄されている児童

④ 父または母が引き続き1年以上拘禁されている児童

⑤ 父または母がDV防止法による保護命令を受けた児童 など

 このうち、③~⑤については、たとえ父母が婚姻を解消していなかったとしても、受給資格を得ることができます。

 もっとも、③については「遺棄」という要件を充たすには結構ハードルが高く、

ⅰ)別居して1年が経過していること

ⅱ)その間、夫からの仕送り、訪問、電話、手紙などの連絡が一切ないとき

に認定されることになります。仮に連絡があれば、そこから1年以上ない状態で初めて認定されるのです。

 ですから、夫の行方が分かっているが、仕送りはない・ただ中途半端に連絡がある、というケースでは、現実に婚姻費用などお金が入ってくる訳ではないにもかかわらず、「遺棄」の条件を満たさないから、受給が受けられないということになってしまうのです。

 また、夫の所得申告の上で扶養親族とされている場合にも認定されにくいという難点もあります。

 そうなると、実際は別居をしているが離婚が未だ成立していない場合には、お金・便りも含めよほど夫と音信不通でない限り、③により児童扶養手当の受給資格を得ることは困難でしょう。

 もっとも、DV防止法による保護命令が子どもに対して出ているときには、1年遺棄という制限なく申請をして児童扶養手当を受給できます。

 引き続き、次回も児童扶養手当についてお話ししたいと思います。

 

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