法律のいろは

嫡出子と相続(最高裁の決定)(その①)

2013年9月13日 更新 

 先日,最高裁が非嫡出子の相続分が嫡出子の半分の割合と定めている民法の定めが遅くとも平成13年7月には憲法に違反する状態だという判断をしました。ニュースでは,非嫡出子が嫡出子と比べて不平等に扱われるのはおかしいのだから,この決定は当然という考えが出ていました。逆に,それでは法律上の結婚の意味がなくなるという反対の考え方があるような印象を受けました。

 そもそも,この決定はどのようなものなのでしょうか?

 

 嫡出子は,法律上の結婚(婚姻届を出す形での通常の結婚)から生まれた子供のことです。非嫡出子は,それ以外の関係から生まれた子供のことです。これまで,法律上は先ほど述べたように,相続分の割合に差がついていました。

 これまで,相続の分野では不労所得なのだから,どのような制度を定めるかの裁量は大きいという考えに沿った判断が基本的には維持されてきました。これに対して,自分ではどうしようもない生まれによって異なった扱いをするのは差別的扱いだという反対の考え方がありました。

 

 今回の決定は,遺産分割の話し合いがこじれ,嫡出子の側から非嫡出子に遺産分割の審判を申し立てた(裁判所の判断を求める)ケースのようです。先ほどの相続分の割合は,遺言がない場合に法律の定めによることから,遺言がなかったものでしょう。

 この中で,相続分の割合が争点となり,法律が憲法に反するかが問題となったものと思われます。

 

 決定の中では,当初は合理性をもっていた法律の定めが,様々な時代の流れが起きている中で合理性を失ったという判断をしています。そして,合理性を失った時期を遅くても平成13年7月としています。

 

 ここで問題となるのは,平成13年7月以降に発生した相続すべてで,相続分が台頭になった事を前提として遺産分割をしないといけないかということです。決定は,この問題についても判断しています。

 まず,平成13年7月以前の相続に関しては,民法の定めが憲法に反するとは言っていません(積極的に合っているとも言っていません)。それどころか,これまで最高裁が嫡出子と非嫡出子の相続分に関して下した判断を変更するものではないと言っています。これまでで判断がなされた一番遅い相続発生時期は,筆者が確認した限りでは,平成12年6月のようです。平成12年6月以降に相続が発生していても,遺産分割がなされていないケースは結構あるのではないでしょうか?

 今後分割の話が出てきても,この時期の相続については相続分に差があるのは問題ないと考えられる可能性は十分あると考えられます。平成12年6月以降平成13年7月までの時期に発生した相続で遺産分割が済んでいないケースは,どうなるか分かりませんけど,「遅くとも」が早まれば,相続分は対等とすることはありえるでしょう。

 

 補足を含めて,次回に続きます。

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