法律のいろは

残業代とは何でしょうか(その⑥)?

2013年9月23日 更新 

 前回まで,どの部分までが勤務時間(労働時間)になるのかという話について,触れました。前回までの話で触れていない,始業前とか休日の勤務がどうなるのかという話については,近いうちにまた触れたいと思います。

 

 今回は少し話の視点を変えて,勤務時間はどうやって計るのかという点について少し触れます。この点も,どの位勤務していたのか(残業していたのか)という問題では取り上げられるところです。

 一番大きなものとして思い浮かべるのが,タイムカードではないでしょうか?タイムカードなら客観的に正確に押しているし,不正でもない限りは間違いないのではないかとは思うところです。実際に,どのくらい働いたのかが問題になる裁判例でも,タイムカードの記載通りに働いていたと事実を認定するものが,圧倒的に大半なのではないかと思われます。

 とはいえ,もちろん,タイムカードとて,押す状況によっては,必ずしも正確な働いた時間を表していない場合があります。行政機関の例ではありますけど,役所に出たとき・帰るときに押すタイムカードが,必ずしも正確な働いた時間を示していないことを示すものが公文書で存在しています。

 ただし,先ほど述べたよほどのことがない限り,タイムカードの記載は正確だろうという考えから,タイムカードの記録の効果には大きなものがあります。

 

 これに対して,タイムカードがないという会社も結構あるのではないかと思われます。この場合に,会社としては働いた時間を把握する義務があることから,どのように把握するかは大きな問題です。これは,会社の外で仕事をしている従業員の方についても把握する義務があるのは注意すべき点です。

 

 裁判例では,従業員の方が残業代を請求したケースで,日記やメモ・手帳に書いてあることっからも,働いた時間を認めたものがあります。ただし,これらのものの信用性はそこまで大きくはないという点には注意が必要と思われます。そうはいっても,他にないのであれば,こうしたものを証拠として使うこと・その場合のリスクはよく考えた不がいいように思われます。もちろん,会社としては,これではいつ作ったかもわからないということで信用できないから証拠としての意味はないと攻撃することになるでしょう。

 

 もちろん,タイムカード以外に出勤簿(いつから仕事をして・いつやめたのかがわかるもの)を作って厳重に管理するのも会社としては重要なことになるでしょう。

 

 このように,どれだけ働いたかをどう計るのかというのは大きな問題です。

 

 次回に続きます。

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