法律のいろは

離婚と財産分与(その26)

2013年9月24日 更新 

 離婚の際の財産分与に関して,以前(離婚と財産分与(その⑤))において,親御さんからの援助が財産分与で問題になることが多いという話をしました。特には結婚後買った家についてです。このときは,やや抽象的な話が多かったので,今回は具体例について触れていきたいと思います。

 

 先ほど触れました以前のコラムでは,親御さんから受けた援助は全て財産分与の対象にならない(つまり特有財産とはならない)という話をしました。すなわち,親御さんから受けた援助分を含めて,全て財産分与をされることになります。

 ただ,受けた援助の部分は,多く家を買うにあたって貢献しているので,2分の1(つまり,夫婦が半分ずつ財産を作るのに貢献した)という原則を変える要因になります。もちろん,受けた援助が少ない場合には変わらないことが多いかと思われます。

 

 具体例として,3000万円の家を買うにあたって,妻が実家から300万円の援助を受けた例で考えてみます。ちなみに,今の価値は2500万円で残っている住宅ローンは1500万円です。なお,他には借金もめぼしい財産もありません。

 この場合,さすがに300万円は買った金額の10%ですので小さくはありません。ですから,この部分の貢献度は考えることになります。

 特に多い貢献度は300万円÷3000万円=10%ということになります。

 財産分与の対象は,今の家の価値から住宅ローンをひいた金額です。

 ですから,財産分与されるべき金額は

 2500万円-1500万円=1000万円となります。

 ここで,貢献度を考えるにあたり,ポイントとなることがあります。それは,10%分は妻だけの貢献によって家を買ったことになります。ですから,仮に家を夫がもらうことになるとすると,妻に対して代償となるお金を払う必要が出てきます。ちなみに,これは,家を売却してもらったお金についても同じです。

 この場合,妻の単独の貢献(10%)を引いた部分を夫婦が半分ずつ貢献して家を買ったと考えることになります。

 つまり,(1000万円×90%÷2)+1000万円×10%=550万円が夫が妻に払うお金ということになります。家を売る場合には,これだけのお金を妻が取ることになります。もっとも,家を売る場合には仲介手数料など費用部分をどうするかを事前に決めておく必要があります。

 

 これは,援助が贈与であることを前提とします。仮に,親からの貸し付けの場合は借金と同じ扱いをします。先ほどの例では

 2500万円-1500万円-300万円=700万円

を夫婦で半分ずつ分けます。ですから,700万円÷2=350万円が財産分与の金額になります。

 

 扱いが変わってくる点は注意が必要です。

 

 

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