法律のいろは

再婚の法律問題(その④)

2013年10月7日 更新 

 再婚が問題となる場面について,不倫・不貞相手と再婚したい場合もあるという話とされにまつわる話を前回しました。こうした場合は,有責配偶者からの離婚請求と考えられて,離婚へのハードルが極めて高くなるというのが前回の話です。簡単に復習すると,自分で法律上の離婚原因を作り出したのに簡単に離婚を認めたのでは信義に反するという理由からです。

 

 前回の話の補足をします。ここでいう有責配偶者からの離婚請求(簡単にいえば不貞・不倫をした側からの離婚請求,不貞は法律上の離婚原因の一つです)とは,不貞・不倫によって夫婦生活を破たんさせた場合に,その原因である不貞をした側から離婚請求をしてもOKかという話です。先ほどの話は,それでは信義に反するからハードルをあげましょうという話ですね。

 それでは,不貞・不倫をする前に夫婦関係が破綻していた場合はどうなるのでしょうか?裁判でも離婚が認められる法律上の離婚原因の大半かつ一般的な理由は夫婦関係が修復できないほど破綻している(婚姻の継続が困難な重大な事由が存在する)ことです。そのため,この場合には,既に法律上の離婚原因があることになります。

 ですから,不貞・不倫によって夫婦関係を破たんさせたわけではありませんので,有責配偶者からの離婚請求にはあたらないことになります。

 

 そのためかどうかは分かりませんが,不倫・不貞が離婚の原因かが問題になるケースで,不倫・不貞をし始めた際には既に夫婦関係は破たんしていたという主張が出てくる場合がありえます。この場合に,有責配偶者でない(さらにいえば,夫婦関係破綻後の不倫・不貞であれば慰謝料の支払い義務がなくなります)というには,このような主張をすることになります。

 ただし,夫婦関係の破たんにはそれなりに高いハードルがあります。単にケンカが多かったとか夫婦の口数が少なくなっただけでは,夫婦関係が破綻したとは言えないと言われるリスクは結構あるのではないかと思われます。そのため,こうした主張をするケースには結構なリスクがあることを認識しておいた方がいいでしょう。

 また,別居は夫婦関係の危機の兆候ですので,暴力等で強引に別居の状況を作り出すということも考えられなくはありません。しかし,暴力等で強引に別居の兆候を作り出すこと自体が夫婦の破綻という法律上の離婚原因を作り出すことになりますので,ここでも有責配偶者となるリスクがあります。まして,不倫・不貞をしていたということであれば,離婚請求が認められるためのハードルは極めて高くなりかねません。

 

 次回に続きます。

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