法律のいろは

「相続させる」という遺言(その①)

2013年10月8日 更新 

 遺言とは何でしょうか?

 こう聞かれると,中々答えが出にくいかもしれませんね。遺言書の中に書いて意味のある事柄(法律上という意味です)は法律上決められています。財産関係がメインではないかという考えもあるかもしれません。実際には,遺産分割の方法を決めておく(誰に何を引き継がせるのかを決めておく)・認知を行う・相続人の廃除(遺留分を持つ方のみが対象)・法人の設立や一部の信託を設定するなど,いくつかのものが定められています。意味のある事柄かどうかはどのようなことを示すのかといえば,法律上の権利や義務に影響を及ぼすかどうか・単なる意向や気持ちを書いたものという扱いに過ぎないのかという点で異なります。実際には大きな差となります。

 

 財産関係での引継ぎに関する代表的な遺言の書き方に「相続させる」という書き方があります。たとえば「自宅の家は●●に相続させる」というものです。実際にはよく見かける書き方だったりしますが,これはどういったものなのでしょうか。ちなみに,先ほどの例だと,自宅がどんな不動産かをはっきりさせないといけませんから,厳密には「自宅の家」がどこにある不動産なのかを特定しておく必要があります。不動産については遺言書に基づいて登記(名義移転)ができるようにするには,不動産の地番(権利証などに書いてあるもの)を明確に記載しておく・「託す」など何をするのかが解釈が割れないように「相続させる」(所有権を移転させる)などと何を移すのかを明確にしておく必要があります。「相続させる」は相続人に法律上当たる方に対してのもので,「遺贈する」というのは相続人以外の方に使うことになります。

 

 こうした遺言は,亡くなった方の遺言をどう分割するかを定めた方法になります。その内容は,他の相続人の方も従わないといけないというものですから,遺言をする人は,相続人の中で,特にこの財産をこの人に残したいという場合には,有効な方法となります。特別の事情がない限り,この遺言によって,指定した方に指定した財産が相続によって引き継がれることになります。農業やその他家業の引き継ぎに有効な面はあります。

 ただし,こうした遺言の方法をとっておいても,遺留分減殺請求という請求を受けると,一部崩れてくる可能性があります。遺留分減殺請求とは,大雑把にいえば亡くなった方の配偶者や子供に一定の割合の財産を確保させようという制度です。確保させるために,遺留分減殺請求という請求を行えば,遺留分を侵害する(遺留分として確保すべき遺産の割合)が請求を行った人に確保されることになっていました。

 

 簡単に言えば,確保すべき割合で「相続させる」はずの財産が指定した人と遺留分減殺請求を行った方との共有となってしまいます。共有というのは,単独で所有しているわけではないので,色々と制約が出てきてしまう状況です。ですから,せっかく指定した人に指定した財産を残そうという思惑が外れてしまうことになります。この制度自体は法律の改正により令和元年6月までの相続について適用されることになります。それ以降は遺留分侵害請求と名を変えて,お金の清算という形になります。そのため,令和元年7月1日以降に相続が開始した(遺言を残した方が亡くなられた)場合には,話の決着のさせ方が似てくる場面が多いですが,変更した点があります(税務処理の場面でも同様に変更があります)。

 

 こういった事態を防ぐには,他の財産を遺留分侵害(減殺)請求をしそうな人に確保する等の工夫が必要になります。遺産のうち一定割合が確保されればいいのですから,指定した財産以外に財産があれば,工夫できる可能性はあります。遺留分とはどんなものか・遺留分侵害(減殺)請求とはどんな制度なのかという詳しい点は,別のコラムで取り上げています。ただし,先ほど申し上げたように権利の性質が令和元年7月1日以降の相続では異なっており,お金の清算をどのように行うのかという点の考慮が納税資金の確保とともに重要になってきます。

 このほかにも,工夫の手段があるにはあります。その点などは次回に続きます。

 

 

 

 

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