法律のいろは

DV事案と面会交流(2)

2013年10月27日 更新 

  前回は、DV事案の面会交流についてどう進めていくか、さわりのところをお話ししました。

  今回はその続きです。

  ことにDV事案の場合は、話合いで面会交流の条件面を詰めるのは難しいでしょうから、調停や、裁判官が面会交流の条件などを含めて決める、審判の手続きによるのが一般的ではないかと思います。

 DV事案の場合、一方の親が子どもを連れて出て行き、以後別居しているが一度も子どもと会えないまま、期間が経過してしまったという場合がしばしばあります。その場合、DVを理由に面会交流の話が進まず、こう着状態になっていることもあります。

 子どもと他方の親が会っていない期間が長い場合には、より面会交流には慎重になることが多いように思います。まずは今引き取っている親と子どもに対し、監護の現状を調査する家庭裁判所調査官の調査が行われることもあります。その上で、場合によってはまず家庭裁判所内で、他方の親と子どもの遊んでいる様子などを観察しながら、今後の面会交流の在り方を検討する、試行的面会交流が行われることがあります。

 相手に暴力などをふるった親が、子どもには直接暴力などふるっていなくても、子どもが夫婦の喧嘩の場面など見ていて、他方の親に対して恐怖心を抱いているという場合には、より慎重に面会交流をするかどうか検討することになります。

 場合によっては、手紙や写真などでまずやりとりをして(間接的な交流)、様子を見つつ、機会をみて直接他方の親と会って交流をする、あるいは面会交流の回数を数か月に一度にする、第三者立ち合いのもと、短い時間の面会交流にする、という具合に段階的に進めたり、状況に応じた条件にすることもありえます。

 調停で面会交流の条件など話をする場合には、調停委員に間に入ってもらい調整をすることになりますが、子どもを引き取った親の面会交流に対する拒絶の意思が強いものの、面会交流を全面的に制限するまでの事由がない場合、あるいは他方の親が提示する条件が子どもを引き取った親や子ども自身に対する負担になる、といった場合には調停による話合いで条件を詰めるのが難しいこともあります。

 そういったときには、裁判官が当事者双方からの事情聴取や、家庭裁判所調査官による調査などを踏まえながら、面会交流を認めるかどうか、認める場合にはその条件について判断をする、審判手続きによることになります。

 次回に続きます。

 

 

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