法律のいろは

DV事案と面会交流(3)

2013年10月29日 更新 

 前回はDV事案の場合の面会交流調停の進み方などについてお話ししました。

 今回はその続きです。

 DV事案といっても、面会交流が全面的に禁止されるとは限りませんが、一般的には、

・子どもを引き取っていない親が子どもに暴力をふるったり、虐待していた場合

・子どもを引き取っていない親が、子どもを引き取っている親に対して暴力をふるっていた場合

には、面会交流自体認められない場合がほとんどのようです。

 特に前者のケースは子どもを引き取っていない親と面会することで再び暴力をふるわれる可能性が高く、子どもの福祉には明らかに反しているため、ほかの事情を考慮することなく面会交流が否定されるようです。

 また、後者については、子ども自体に暴力がなかったとしても、夫婦間の暴力を間近に見るなどして、子どもが暴力をふるっていた親への嫌悪感・恐怖心を抱いていることが多いといえます。面会交流の際の子どもの受け渡しに、暴力を振るわれた親が関与しなければならない場合もあり、負担が大きく現実的には難しいといったことなども理由にあげられるでしょう。

  ちなみに、少し前の審判ですが、子どもを引き取っている親が、他方からの暴力によりPTSDになり、他方の親はDVについての心理的治療を受けたり、治療が終わってからも暴力をしないよう勉強会に参加したりなどしているというケースについての判断があります。このケースでは、暴力をふるっていた親が反省し、治療を受けているものの、加害者としての自覚が乏しく、子どもを引き取った親を思いやるなどの態度が見られないこと、子どもを引き取った親がPTSDの治療中であることなどから、結論としては面会交流の申立を認めていません。

 ケースごとの判断になると思いますが、DVがある場合には、面会交流が一般的に制限されやすくなることは念頭に置いておく必要があるでしょう。

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