法律のいろは

離婚調停について(その⑮)

2013年10月30日 更新 

 前回は、離婚調停の申立ての前後に、円満調停の申立てがされたときの、手続きの進み方などをお話ししました。

 今回は、円満調停の続きです。

 円満調停が成立すれば、「申立人と相手方は、今後お互い協力し合って円満な夫婦生活が送れるように努力する」といったような合意をしたり、さらには努力を求める事柄について具体的に合意することもある、と前回お話ししました。

 努力を求める具体的な内容とは、「相手方は過度に飲酒しない」とか、「相手方は家事や育児に協力する」といった場合があげられます。このような事柄については、相手方にそのようにするよう努力を求めるということであって、実際に努力したかどうか、どのくらいすれば努力したといえるかは、おのおのの主観により左右されるといえます。したがって、客観的に判断が難しいため、「努力をしていない」といって、国家の力を借りて強制的に行わせることが難しいといえます。

 そのため、上記のような条項を定めても、あくまでも相手方にそのようなことをするよう自発的な努力を求めるにとどまり、さらにそれを超えて強制執行することはできません。

 そうなると、円満調停成立の際なされた合意が実現できるかは、夫婦が、今後の円満な夫婦生活に向けてお互い努力するか、にかかることになります。ですから一方、あるいは双方とも努力する気がないのであれば、合意の実現は困難です。円満調停成立の際には、お互いの努力により初めて合意内容が実現するのだということをそれぞれが理解できるようにすることが大事でしょう。

 また、別居していた夫婦が婚姻生活をもう一度やり直すことに合意し、再び同居することで合意した場合も、強制的に同居させることができないため、円満調停成立時の合意内容と同じく、強制執行はできません。

 逆に、夫婦で話合いを続けていたが、結局婚姻生活をやり直すことの合意に至らなかったときは、円満調停は不成立になります。

 仮に、離婚調停も併せて行われていた場合には、離婚調停の中で離婚条件の調整を行うことも考えられますが、円満調停の申立てをしていた側は、離婚自体にそもそも難色を示している場合が少なくありません。そのため、離婚調停の中での調整は難しいことも多く、結局離婚調停自体不成立になる可能性もあります。

 その場合には、離婚を求める側が、離婚裁判を起こすことになるでしょう。

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