法律のいろは

離婚と在留資格(その③)

2013年6月7日 更新 

 国際離婚の場合で,「日本人の配偶者等」という在留資格で日本に住んでいる外国人の方の問題点を触れてきました。

 これまでの話は,在留資格の更新についての話でした。平成21年の入管法の改正によって,在留資格の更新前でも在留資格が取り消される可能性が出てきました。今回は,その話をしたいと思います。

 

 改正点は,「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」という在留資格で日本に滞在している場合に,「正当な理由なく」「配偶者としての活動を6か月間以上行わない」場合に,在留資格の取消があるというものです。

 ここでの「配偶者としての活動を行わない」の意味は,在留資格の更新を認めない場合で出てきた「配偶者としての活動を行わない」場合と同様と考えることができます。つまり,別居等で夫婦の関係が修復しがたい場合が該当すると思われます。そのため,日本人と結婚したけれども,夫婦仲が悪化した場合に,外国人の配偶者は在留資格の更新を待たずして,在留資格がなくなるリスクが出てきます。

 「正当な理由」の具体的な意味ははっきりしていません。一般に子どもの親権を巡っての調停(離婚調停等)や離婚裁判等を行っている場合には,正当な理由ありとされる可能性がありますが,こうした場合でも必ずしも「正当な理由」があると考えられないケースも出てきます。ケースバイケースのようで,このコラムの筆者が改正入管法についての説明を入管の担当者に伺った際にも,歯切れの悪い回答が返ってきた記憶があります。ちなみに,いわゆるDVによる別居の場合も「正当な理由」ありとされる可能性はあります。

 少なくとも言えるのは,「正当な理由」があるかどうかについては,個別のケースごとに行政側の裁量がありそうだということです。

 

 在留資格の取消の可能性が出てきた際には,専門家への相談もしたほうがいいでしょう。このように,外国人の方が,日本人の配偶者と離婚の可能性が出てきた場合で,引き続き日本での生活を希望するのであれば,在留資格についての問題も意識しておく必要があるように思われます。

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