法律のいろは

婚姻費用・養育費と教育費

2014年2月2日 更新 

 婚姻費用(生活費)については、以前、婚姻費用について何回か触れた際にも取り上げたと思いますが、今回はその中でも教育費・学費との絡みでお話したいと思います。

 前にもお話しましたように、婚姻費用(生活費)・養育費の算定表では、公立学校に通うのを前提としての学校教育費は考慮されています。しかし、それを超えて、たとえば私立の学校へ進学をした場合の授業料や、塾への通学費用、クラブ活動や習い事にあたってかかる費用は考慮されていません。

 ですから、基本的には養育費を支払う義務ある者が負担すべきとされている養育費の範囲に収まるよう、子どもの教育費用も賄わなければならないといえます。

 それを超えて支出が予測される場合には、通常の養育費の支払いと別に、協議をすることとする、といった条項を定めて調停成立とするのも一つでしょう。

 ただ、支払義務ある相手方が、その支払に応じないような場合には、当然に負担する義務を負うわけではないので注意が必要です。

 審判例では、少し古いものですでに成人に達しているものの、医科大学に進学をしている子どもの学費の支払いについて、相手方が進学について了承を得ており、また相手方の収入面(かなりゆとりがある)からみても進学が当然といえるばあいには、学費も婚姻費用(生活費)に含まれるとしたものがあります。

 ただ、この審判例では、いずれも現時点で収入がない申立人(支払を求める権利者)・医科大学に進学をしている子どもが機会を得て積極的に収入が得られるようにして将来的には生活の安定を図るよう望む、という下りがあるのも注目すべきところです。

 また、離婚時に子が成年に達するまでの養育費として、相当額(1000万円)をまとまってもらい・なおかつかなり高額の慰謝料・財産分与まで受け取ったものの、私立学校での通学・塾の費用などですでに中学卒業時点で使いはたしてしまった申立人が、医学部進学にはさらなる養育費が必要として支払いを求めたという事例があります。やや特殊なケースですが、支払義務者も私立学校への進学をしており、その子どもも同じ学歴をうけさせるのが自然であること、支払義務者に相当な収入があることから、事情の変更があったとして高校入学以降の追加の養育費の請求を認めたケースもあります。

 いずれのケースも子どもが高額な費用のかかる大学への進学をすることが予測されるケースで、なおかつ支払義務者が相当な収入があったというものです。したがって、支払義務ある親が高学歴でなく、また収入も多くないようなときは、ある程度話をつけて、子どもが高額な費用のかかる学校に行く際の授業料なども工面できるようにしておかないと、仮に話合いがまとまらず、裁判官による判断(審判手続き)に移行したとしても、当然のようには教育費が養育費の中に含まれるとして認められないこともあるでしょう。

 

 

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