法律のいろは

離婚後に養育費の終期の変更することの裁判例の紹介

2015年4月17日 更新 

 離婚の際に,養育費の支払いの終わりの時期を決めることは通常と思われますが,20歳か22歳か(大学に入学卒業することを前提にした場合)でよく問題になることが多いのではないかと思われます。養育費の支払い終わりの時期〈終期)をいつにするのかは,子供の教育に関する費用がかかる時期であることも考えると大きな問題となってきます。今回は,ここ数年の間で出された裁判例を紹介します。

 問題となったケースは,離婚の際に養育費の支払いを子供が18歳になるまでと合意したケースで,大学進学を予定するからという事で22歳まで伸ばすことを親権者となった親の側から求めたものです。背景として,離婚後に,親権者となった親の側が再婚したうえで,子供が再婚相手の養子となったこと・養育費を払う側の親も再婚して子供が新しく生まれたこと・養育費はこうしたことがあっても変わらず支払われたという事情があります。

 ちなみに,子供が再婚相手の養子になった場合には,少なくとも養育費の減額事情となる事情変更にあたると一般的に考えられ,養親の扶養義務が実親に優先するからという事で,養育費の支払い義務がなくなるではないかという考えも存在するところです。また,養育費を払う側に子供が新たに生まれた場合も,養育費の減額事情となりうる事情の変更と一般的に考えられています。

 このケースでは,こうした事情はあったものの養育費の減額請求がなされていなかったからだと思われますが,養育費の減額はなされず,最初に決めた額が支払われたようです。最初の取り決めの終期(18歳)が来るにあたって,大学進学の方向が生じたことをもって事情変更があるからという事で終期の延長を申し立てたものと考えられます。このケースで,第1審では理由の記載はなされていませんが,20歳までの延長を認めています(ただし,金額は減額)。これに対し,第2審では,先ほど述べた背景事情のもとでは,いかに大学進学を予定し費用がかかるにしても,それだけをもって終期の延長を認める事情変更にはあたらないと判断し,延長を全く認めない判断をしています。

 変更を相当とする事情の変更には,単なる事後の事情変更にとどまらない様々な要素の考慮がありうると判断された点で注意が必要と思われます。養育費の支払いに関する事情がどこまで考慮されるのかは必ずも明らかではありませんが,気になった場合には専門家にアドバイスを求めるのも一つの方法かもしれません。

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