法律のいろは

散骨には何か法律的な問題があるのでしょうか?

2015年6月11日 更新 

 「散骨」という言葉をたまに耳にしますが,一般には個人の遺体を火葬した後の焼骨をまくことを指すようです。別に自然な葬送の仕方ではないかと一瞬思うところですが,法律的に問題があるのではないかという点が出てきます。

 こうした点に関連する法律として,墓地埋葬法の定めと刑法の遺体損壊罪の定めがあります。前者の中には,埋葬や焼骨の埋蔵は墓地以外の区域では行ってはならず,埋葬の仕方についても規制(法令の定めにより市町村長の許可を要する)されています。そして,こうした規制などから見て逸脱した埋葬は後者の定めに該当する,つまり犯罪になる可能性が出てきます。それでは,散骨はこうした規制に反するのではないかというリスクが出てくるところですが,現在行政解釈とされているところでは,社会常識の範囲内で死者に対する社会的習俗としての宗教的感情を害さない限りは散骨も許容されると考えている見解が有力となっています。

 ただし,特に裁判例で是認されたわけではなく,やや曖昧な点が残るところです。現に,散骨について,先ほどの見解と異なり,刑法に触れるリスクが残るとのb出るものもありますから,散骨について法律上のリスクがないと考えるのは少し危ういようにも思われます。

 散骨を葬儀のやり方として希望するという遺言の記載も可能ではありますが,こうした葬儀の方法に関する事柄は法律上の遺言事項ではないため,法律上の意味をもつものではなく,単なる遺言をされた方の希望という事になります。遺言をされる方の意思の尊重と実際に散骨をしてみようとする際に,リスクが残りうる点には注意をしておいた方がいいように,筆者の個人的見解としては思うところです。

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