法律のいろは

小さな会社で経営者夫妻に離婚問題が生じた際に,勝手に配偶者に辞めてもらうことはできるのでしょうか?

2016年5月10日 更新 

 主に家族経営・家族が役員である小さな会社は多いのではないかと思われます。社長と役員を夫婦で行っている・役員ではないが配偶者に手伝ってもらっているという形をとっているところもそれなりの数あるでしょう。こうした状況で経営者夫婦の間に離婚問題が生じた際にはどんな問題があるのでしょうか?

 

 離婚における大きな問題としては財産分与の問題があります。この話は以前触れたところでもありますが,少し整理して再度触れてみたいと思います。

 

 今回は夫婦が不仲になった場合に代表者である方(多くは夫であるケースがだと思われます)が勝手に配偶者を辞めさせることができるのかという点について触れていきます。

 

 結論として言えば,配偶者が役員である場合でも従業員である場合でも勝手にやめさせることは非常にハードルが高く,トラブルを招く可能性が高いと言えます。そのため,夫婦が不仲だからと感情の赴くままに行動してしまうと後での問題につながりかねません。

 

 まず,役員である場合について言えば,役員を解任するには株主総会の決議が法律上必要となります。小さな会社では実質代表者のみが株主であるという場合もあるかもしれませんが,他の方も株主でいる場合もあろうかと思われます。少なくとも,そうした場合には株主総会を無視するということには大きな困難を伴いかねません。不当な解任という事で相手(配偶者)の反撃を受けかねず,大きな問題の種につながりうるでしょう。

 

 株主総会を開くことなく議事録のみ存在させるという会社もあるかと思われますが,決議の省略ができるような場合は法律上制限されています。

 

 次に,配偶者が従業員であるケース(従業員でかつ役員の場合は従業員としての立場)に,一方的に辞めさせるのは解雇にあたります。解雇に関しては法律上(裁判例上)大きな制約があります。相手からこの点を指摘されることによって,トラブルが大きくなるとともに厳しい立場に陥ってしまうリスクがある点には注意が必要と思われます。

 

 小さな会社で多い従業員でかつ役員というケースで,一方的に辞めさせた場合には,先ほど述べた点が両方とも当てはまります。繰り返しになりますが,トラブルが大きくなったうえで問題が広がる可能性があります。もちろん,不仲な状況で働き続けるのが夫婦ともにしんどいという事で親族などを交えて退職や辞任に向けての話し合いをすることには問題はありません。

 

 こうした点に関しては弁護士など専門家に相談するのも一つの対応でしょう。

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