前回,後遺症逸失利益を考えるにあたり,次の3点が大きく問題になることは触れました。その3点とは
①基礎となる収入
②労働能力喪失の程度・後遺症の程度
③労働能力を喪失する期間
のことです。今回は前回に引き続き①について触れていきます。
前回は,サラリーマンなど給与生活をしている方について触れました。その中で概ね30歳未満の若年の方は少し別に考える可能性があることを触れました。
補足ですが,毎月の基本給などがいわゆるベースアップなどによって上昇する方もおられると思います。現実に昇給やベースアップが交通事故後にあった場合には,基礎となる収入には昇給分も含めて考えることができます。
では,現実に昇給がない場合には全く昇給の可能性が考慮されないかというとそうではありません。昇給規定があって,昇給の可能性が大きい場合には,規定による昇給を考慮していくことになります。また,昇給規定がなくても,相当程度の昇給の可能性が認められれば,平均値的な昇給が考慮されます。ここでいう平均値的な昇給は,たとえば被害にあった方と同程度の学歴な能力を持つ方の現実の平均値的な昇給率を考えるということです。
ちなみに,交通事故後のベースアップは,不確定になってしまう部分については,基礎となる収入に含めることに否定的な裁判例が多いです。
定年制を採用している会社に被害者が務めている場合に,定年制を考慮するかどうかは難しい問題です。全く苦慮することなく就労可能年数(一応67歳)まで基礎収入を売るという前提で計算する(ちなみに,これだと問題は主に③だけです)方法が多い印象があります。
とはいえ,定年制を考慮していくことも可能です。ただし,定年後の基礎収入をいくらと考えるかのてんで問題が出てきます。
このように,考えていくと給与生活をしている方についても様々な問題が出てきます。次回は,学生などの方の基礎収入をどう考えるのかという点などについて触れていきます。
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